相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
第1回:「もらって困る相続財産」─ 負動産という現実

相続という言葉に「財産がもらえる」という明るいイメージを持つ方は多いでしょう。
しかし現実には、維持や管理に多大な負担を強いられる"負動産"という遺産も存在します。
本記事では、香川県内でも増加している「もらって困る相続財産」の現実と、その背景を司法書士の視点から解説します。
■目次
- 「負動産」とは何か?──もらって困る遺産の正体
- 管理・税金・処分困難…相続後に待ち受ける"負担"
- 香川県で増える空き家・放置地の現状
- 相続人を悩ませる「共有名義」という落とし穴
- 相続放棄と遺産分割協議の違いを正しく理解する
- まとめ──"負の遺産"を残さないためにできること
- 無料相談のご案内(CTA)
1. 「負動産」とは何か?──もらって困る遺産の正体

相続と聞くと「遺産をもらえる」というポジティブなイメージを持つ方が大半です。
しかし、司法書士の現場では、「財産を相続したものの、手放したくても手放せない」というご相談が年々増えています。
このような"もらって困る財産"を、近年では「負動産(ふどうさん)」と呼びます。
代表的な例は以下の通りです。
- 誰も住んでいない古い実家(空き家)
- 管理が行き届かない山林や農地
- 不便な場所にある土地(買い手がつかない)
- 修繕費が高額な老朽建物
- 共有名義で手続きが複雑な不動産
こうした不動産は「資産」ではなく、税金・維持管理・処分コストといった継続的な負担を生む存在になります。
2. 管理・税金・処分困難…相続後に待ち受ける"負担"

(1)固定資産税・草刈り・修繕費が延々とかかる
相続後に最も多い相談は、「誰も住まないのに毎年固定資産税がかかる」「草刈りや雨漏り修繕に費用がかさむ」というものです。
不動産を所有している限り、たとえ利用していなくても所有者としての義務が発生します。
(2)放置すれば「特定空家」指定のリスク
管理が行き届かず危険な状態になった空き家は、自治体から「特定空家等」に指定され、固定資産税の軽減措置が外れる可能性があります。
場合によっては強制撤去命令が出され、撤去費用を求償されることもあります。
(3)相続したものの、誰も引き取り手がいない
地方部、特に香川県の郡部では「隣も空き家」「周辺に買い手がいない」というケースが多く見られます。
いくら「売ればお金になる」と思っても、実際には市場価値がゼロ、あるいはマイナスということも珍しくありません。
3. 香川県で増える空き家・放置地の現状

国交省のデータによると、全国の空き家率は約14%。香川県ではそれを上回るエリアもあります。
とくに高松市郊外や中讃・西讃地域では、相続による放置地・空き家が顕著で、次のような相談が多く寄せられています。
- 「名義を変えていないまま何十年も経った」
- 「兄弟で共有のまま話し合いが進まない」
- 「売りたくても登記ができず買主が見つからない」
これらの背景には、2024年4月からスタートした相続登記義務化の影響もあります。
今後は、相続が発生したら3年以内に登記を行う義務があり、怠ると過料の対象となります。
つまり、これまで「放っておいても問題なかった」不動産も、放置できない時代に入ったのです。
4. 相続人を悩ませる「共有名義」という落とし穴

相続人が複数いる場合、「公平に分けよう」として不動産を共有名義にするケースがあります。
しかし、これは後々のトラブルの原因になりやすい方法です。
共有名義の不動産では、
- 一人でも反対すれば売却や処分ができない
- 管理費や税負担の分担を巡って争いになる
- 共有者の一人が亡くなれば、さらに相続が枝分かれする
といった問題が起こります。
実際、司法書士の現場では「共有名義を整理したいが話がまとまらない」という相談が後を絶ちません。
このようなケースでは、遺産分割協議の段階で"名義集中"を検討することが重要です。
5. 相続放棄と遺産分割協議の違いを正しく理解する

相続放棄をすれば「負動産から逃れられる」と考える方もいますが、必ずしもそうではありません。
相続放棄には期限(原則3ヶ月以内)があり、放棄後も管理義務が残ることがあります。
一方で、「遺産分割協議」によって、特定の相続人に負動産を集約させる方法もあります。
たとえば、「管理できる人にまとめる」「将来処分予定の人に名義を集中させる」といった形です。
どちらの方法を取るかは、不動産の性質や相続人同士の関係性によって判断が異なります。
こうした判断には、司法書士や専門家の助言が不可欠です。
6. まとめ──"負の遺産"を残さないためにできること
「もらって困る遺産」は、相続が発生してから慌てるのではなく、生前の段階で準備しておくことが何より重要です。
具体的には、
- 不動産の現状を確認し、処分可能かを把握しておく
- 生前贈与や売却・信託など、早期の整理を検討する
- 遺言書に「誰がどの不動産を承継するか」を明確にしておく
これらの対応を行うことで、次世代への負担を大きく減らすことができます。
負動産問題は、相続対策と登記対策の両面から取り組むことが求められています。
※相続放棄をするタイミングなど、専門家にシュミレーションをしてもらわないと、何がどうなるかではわかりません。近所の人がやったので、同じようにやったという人もいますが、相続は皆内容が異なります。専門家に聞きましょう。

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