1. 遺言書と聞いて思い浮かぶイメージ

「遺言書」と聞いて、どんなことを思い浮かべますか？
「ドラマで遺産争いが起こるシーン」
「病院のベッドで弱った人が最後に書くもの」
「残される家族にとっては重苦しいもの」

　このように、どうしてもマイナスのイメージが先に立ちやすい言葉です。
特に日本では、「死」に触れる話題は避けたいと考える方も多く、「まだ自分には関係ない」「縁起が悪い」と思われがちです。

　けれども、実際の遺言書は決してこわいものではありません。むしろ、家族を守るための「やさしい準備」と言えます。

2. 本当の遺言書は「安心の手紙」

　法律上の遺言書は、相続に関する意思を形にするための文書です。
　しかし視点を変えると、それは 「大切な人たちに、安心を届ける手紙」 ともいえます。

• 誰にどの財産を託すか
  ・自分の思いをどう伝えるか
  ・家族に余計な心配をさせないために何を残すか

　これを事前に書き残しておくだけで、残された家族は大きな不安から解放されます。
「お父さんは、こう考えていたんだね」
「お母さんは、ちゃんと私たちのことを思ってくれていたんだ」

　こうした理解が、家族の絆を守る力になります。

3. 遺言書があると家族がラクになる理由

　遺言書のある家庭と、ない家庭。大きな違いは「相続のスタート地点」です。

　遺言書がなければ、家族は話し合い（遺産分割協議）をしなければなりません。
ところが、財産が土地や建物しかない場合、誰がどう使うのかを決めるのは大変です。意見が合わなければ争いになることも。

　遺言書があれば、基本的にその内容に従って相続が進みます。家族同士で意見が割れる余地が少なく、スムーズに進むのです。

　つまり遺言書は、 「家族に余計な負担をかけないための優しい配慮」 なのです。

4. 遺言書＝お金持ちだけのもの？

　「うちは財産が少ないから、遺言書なんて必要ない」と思う方もいます。
けれども実際には、財産の多少にかかわらず必要性があります。

　たとえば、持ち家一軒と預金少し。
この持ち家を誰が相続するかで、兄弟姉妹の間にトラブルになるケースは珍しくありません。

　また、農地や実家の土地など、「お金に換えにくい財産」は特にモメやすいのです。
だからこそ、どんな家庭でも「遺言書があってよかった」と後から実感されるのです。

5. 遺言書を考える第一歩──気持ちを書き出してみる

　いきなり「正式な遺言書を書こう」とすると、ハードルが高いですよね。
そこでおすすめしたいのは、まず 「気持ちのメモ」 を書いてみることです。※市販のエンディングノートを利用するのがいいでしょう。

• 自分の財産は誰に受け継いでもらいたいか
  ・どんな形で家族に役立ててほしいか
  ・感謝の気持ちをどう伝えたいか

　紙に書いてみるだけで、自分の思いが整理されてきます。
　このステップが、「遺言書は怖いものではなく、気持ちを伝えるもの」という感覚につながります。

6. 専門家に相談するメリット

　「遺言書を書こう」と思っても、実際には法律上の決まりがあります。
形式を間違えると、せっかくの遺言書が無効になってしまうこともあります。

そこで司法書士や行政書士などの専門家に相談すると、
・法的に有効な遺言書が作れる
・あなたの思いを形にするアドバイスがもらえる
・相続人が困らないように準備ができる

というメリットがあります。
　専門家は「難しい言葉をやさしく伝える」役割もありますので、気軽に相談してみてください。

7. まとめ──「遺言書」は前向きな準備

　遺言書は「死」を連想してしまうため、どうしても避けられがちです。
しかし本当は、家族に「安心」をプレゼントするための前向きな準備です。

• 家族が困らないように
  ・争いを避けられるように
  ・自分の気持ちを伝えるために

　そうした思いを込めた遺言書は、きっと大切な人たちの心を守ってくれます。

まずは「気持ちのメモ」から始めてみませんか？

（相談会のご案内）

「遺言書に少しでも興味があるけど、不安もある」という方は、一度ご相談ください。
アイリス国際司法書士・行政書士事務所では、法律のことをやさしくかみくだいてお話しし、ご家族に合った遺言書づくりをお手伝いしています。