相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第6回】遺留分トラブルを避ける!事業承継と家族の権利をどう両立するか?

中小企業の事業承継で最も見落とされがちなのが、「遺留分」への配慮です。自社株式を後継者だけに集中させる遺言や生前贈与を行った結果、他の相続人から遺留分侵害額請求が起こるケースは後を絶ちません。
事業の継続と家族の感情のバランスをどうとるかは、承継対策において極めて重要なテーマです。本記事では、遺留分の基礎知識からトラブル事例、回避のための遺言・契約・特例制度の活用法まで、実践的な解決策を詳しく解説します。
【目次】
- 遺留分とは?法定相続人の最低限の取り分
- なぜ事業承継で遺留分トラブルが起きるのか
- よくある遺留分請求のパターンとその影響
- 遺留分トラブルを未然に防ぐ3つの対策
4-1. 遺留分に配慮した遺言の工夫
4-2. 遺留分の放棄を家裁で認めてもらう
4-3. 民法特例(遺留分算定からの除外)活用 - まとめ:事業承継の前に家族の理解と合意形成を
- 【無料相談受付中】遺留分と株式承継の最適バランス診断
1. 遺留分とは?法定相続人の最低限の取り分

遺留分とは、一定の法定相続人に法律で保障された最低限の相続分です。
主に配偶者・子・直系尊属が対象となり、以下の割合が定められています。
- 配偶者・子が相続人の場合:遺産の1/2
- 両親など直系尊属のみの場合:遺産の1/3
これに基づき、たとえ遺言で「全てを長男に相続させる」としても、他の相続人は**「遺留分侵害額請求権」を行使**することができます。
2. なぜ事業承継で遺留分トラブルが起きるのか

中小企業の株式は分散せずに後継者(例えば長男)に集中させるのが基本です。
しかし、その結果、他の相続人(次男や配偶者など)が「不公平だ」「相続を軽んじられた」と感じ、感情的な対立に発展しやすくなります。
このような状況で、相続発生後に**遺留分侵害額請求(お金で支払う)**を受けると、承継したばかりの会社の経営資金が圧迫され、経営継続自体が危うくなるケースも少なくありません。
3. よくある遺留分請求のパターンとその影響
【例】
ある経営者が遺言で「すべての株式は長男に承継させる」と記載。
相続人は配偶者と長男・次男の3人。
→ 次男が「自分には何もない」と遺留分侵害額請求を起こし、長男は株式評価額の1/6相当の現金を支払う義務に追われる。
【影響】
- 承継直後に高額な支出を迫られる
- 兄弟間の関係悪化
- 自社株を担保に借入をせざるを得ない
- 事業継続の意欲減退
遺言や贈与だけで安心してはいけないのです。
4. 遺留分トラブルを未然に防ぐ3つの対策
4-1. 遺留分に配慮した遺言の工夫
遺言で全ての財産を後継者に集中させる場合でも、他の相続人の心情を汲み、適切な補償や説明を記載することでトラブルを減らせます。
- 「次男には現金〇〇万円を残す」
- 「長男が株式を承継するが、次男には会社債権を譲渡する」
- 「理由:〇〇年に住宅取得支援を行ったため」など
透明性を持った遺言は、遺留分請求の抑止力にもなります。
4-2. 遺留分の放棄を家裁で認めてもらう
民法では、生前に相続人が家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄する制度があります。
【メリット】
- 遺留分請求のリスクをゼロにできる
- 後継者に安心して株式を集中させられる
- 相続人全員の合意を前提に、信頼関係を構築できる
【注意点】
- 書面による合意だけでは無効
- 家庭裁判所の許可が必要(形式的な審査あり)
4-3. 民法特例(遺留分算定からの除外)活用
「中小企業の事業承継に関する民法の特例制度(会社法・相続法の特例)」を利用すると、一定の条件を満たせば自社株の評価を遺留分算定の対象から除外できます。
【主な条件】
- 経済産業大臣の認定
- 相続人全員の合意
- 特定の非上場会社に限る
この制度を活用することで、遺留分に関する争いを根本から回避できる可能性があります。
5. まとめ:事業承継の前に家族の理解と合意形成を
遺留分トラブルは、事業承継そのものを揺るがすリスクをはらんでいます。
「法的には正しいことをした」のに、「感情面での不満」が爆発するのが典型です。
事前に「なぜこのような承継をするのか」を家族に説明し、納得してもらうプロセスこそ、円満な承継には不可欠です。
遺言・契約・法的特例の活用とともに、家族全体での承継戦略づくりを行いましょう。

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