相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第1回】なぜ今「〇〇じまい」が注目されているのか? 〜時代背景と価値観の変化から見える現代人の決断〜

近年、「墓じまい」「家じまい」「店じまい」「土地じまい」といった"〇〇じまい"という言葉を耳にする機会が増えました。
高齢化や少子化、単身世帯の増加といった社会構造の変化により、これまで「家族が引き継ぐのが当たり前」とされていたものを、「自分の代で終わらせる」という選択をする人が増えているのです。
この記事では、「〇〇じまい」という現象がなぜ今注目されているのか、その背景にある時代の流れや人々の意識の変化を解説します。
相続や終活、不動産管理、事業承継などに関心のある方にとって、"じまい"の理解は避けて通れないテーマです。
■ 目次
- 「〇〇じまい」とは何か?
- 増える"じまい"の背景にある社会構造の変化
- 「引き継ぐ」から「たたむ」へと変わる価値観
- 誰もが"じまい"を選ぶ可能性がある時代
- まとめ:人生の「閉じ方」は早めに考える時代へ
1. 「〇〇じまい」とは何か?

「〇〇じまい」とは、これまで当たり前のように"子や孫に引き継がれる"とされてきた資産や場所、営みを、自分の代で終わらせることを意味する言葉です。
代表的な例として、以下のようなものがあります。
- 墓じまい:お墓を撤去し、遺骨を永代供養や納骨堂に移す
- 家じまい:相続される予定だった実家を売却・解体・処分する
- 店じまい:後継者がいない個人商店や企業が事業を終了する
- 土地じまい:管理できない山林や農地を手放す、寄付する
これらはすべて、「次世代がいない」「引き継ぐ意志がない」「維持するのが困難」といった事情から選ばれるようになってきました。
2. 増える"じまい"の背景にある社会構造の変化

"じまい"の流れを加速させているのは、日本社会の急速な変化です。
- 高齢化:2025年には団塊世代が75歳以上となり、いわゆる「2025年問題」が現実味を帯びています。高齢者だけの世帯が増え、管理・維持が難しい状況が頻発しています。
- 少子化・未婚化:子どもがいない、あるいはいても遠方に住んでいて引き継ぎが困難というケースが増えています。
- 核家族化:親と同居しないライフスタイルが一般化し、物理的にも精神的にも"つながり"が希薄になってきています。
- 都市と地方の格差拡大:地方では空き家や放置墓地の増加が深刻な問題となっており、自治体が"じまい"を促すケースも見られます。
こうした背景が、「引き継ぐ」ことを前提とした従来の考え方を揺るがしているのです。
3. 「引き継ぐ」から「たたむ」へと変わる価値観

"じまい"を選択する人の多くが語るのは、「子どもに負担をかけたくない」という思いです。
たとえば墓じまいでは、「先祖代々の墓を守ることが子孫にとって精神的・経済的負担になるのでは」という配慮から、あえて自分の代で区切りをつける決断をします。
また、家じまいや土地じまいでは、「自分の死後、誰も管理できない不動産が残ってしまうこと」への不安が動機となることが多いです。
このように、"じまい"は「責任放棄」ではなく、むしろ未来を見据えた責任ある決断といえるのです。
4. 誰もが"じまい"を選ぶ可能性がある時代
かつては一部の人だけが直面していた"じまい"の問題も、今や誰にでも関係するテーマとなりました。
たとえ子どもがいても、価値観やライフスタイルの違いから「継がない」という選択がされることも少なくありません。また、兄弟姉妹の間で処分の方針が分かれ、トラブルに発展するケースも見られます。
つまり、"じまい"は「特別な人だけの問題」ではなく、全ての家族・個人に降りかかる"終活"の一部になりつつあるのです。
5. まとめ:人生の「閉じ方」は早めに考える時代へ
"じまい"は、人生や家族の物語の終わり方を、自分自身で選ぶという行為でもあります。
単なる処分や放棄ではなく、「引き継がれないこと」を前提に、どうやって整理し、次の世代や社会に迷惑をかけずに終えるか。
それは今後の日本社会において、ますます重要なテーマとなるでしょう。

次回は、こうした"じまい"に潜む悩みやトラブル、放置リスクについて、具体的な事例を交えてご紹介します。
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