相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第2回】相続放棄の手続きと注意点(やり方を間違えると“放棄できない”ことも?)

「相続放棄をしたいけど、どう進めたらいい?」「家庭裁判所に出すって聞いたけど、難しそう…」
相続放棄は、期限内に所定の手続きを行えば有効ですが、そのやり方を間違えると"放棄したつもり"が通用せず、逆に相続したとみなされてしまうこともあります。
この記事では、実際に相続放棄を行うためのステップを一つひとつ解説しながら、よくある落とし穴や注意点についても紹介します。
「やるつもりだったのに間に合わなかった」とならないよう、正しい手順を確認しておきましょう。
目次
- 相続放棄の流れ|3か月以内にやるべきこと
- 相続放棄の申述書と必要書類
- 放棄後に届く「照会書」とは?
- 家庭裁判所の審査と決定通知
- 放棄が認められたら…他の相続人への影響
- よくある失敗例と対策
- まとめ:迷ったら早めに専門家へ相談を
1. 相続放棄の流れ|3か月以内にやるべきこと

相続放棄の手続きは、以下のような流れで進めていきます。
- 被相続人が亡くなったことを確認(死亡日を基準に)
- 財産・負債の調査(通帳・借金・不動産など)
- 家庭裁判所へ「相続放棄の申述書」を提出
- 裁判所からの「照会書」への回答
- 裁判所から「受理通知」が届く
この一連の流れを、原則として"相続が発生したことを知ってから3か月以内"に済ませなければなりません。
時間的猶予が少ないため、早めの準備が肝心です。
2. 相続放棄の申述書と必要書類

申述書とは、相続放棄を正式に申し立てるための書面です。これは裁判所の様式に従って作成します。
主な提出書類は以下の通りです:
- 相続放棄の申述書
- 被相続人の戸籍(出生から死亡まで)
- 自分(申述人)の戸籍
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 収入印紙(800円)
- 郵便切手(裁判所により異なる)
これらを管轄の家庭裁判所へ提出します。通常は被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所です。
3. 放棄後に届く「照会書」とは?
申述書を提出してしばらくすると、家庭裁判所から「照会書」が届きます。これは相続放棄の意思が真意であるかを確認するための書類です。
照会書では以下のようなことが尋ねられます:
- 相続放棄をする理由
- 被相続人との関係性
- 相続財産を一部でも処分していないか
- 他の相続人の有無とその関係
この照会書は、正確かつ誠実に回答しなければなりません。
「形式的なものだから」と軽く考えて嘘の記載をすると、放棄が認められない可能性もあるため要注意です。通常、書類の郵送で済む手続きが、出頭を求められる場合もあります。
4. 家庭裁判所の審査と決定通知

照会書の回答が裁判所に届くと、内容を基に審査が行われます。
問題がなければ、相続放棄が「受理」され、正式な「相続放棄申述受理通知書」が発行されます。
この通知書は、万が一債権者から請求が来た際の"盾"になる大切な書類です。
必ず保管しておきましょう。
5. 放棄が認められたら…他の相続人への影響
相続放棄をすると、自分は初めから相続人でなかったことになります。
そのため、法定相続人の順位が繰り上がり、次の順位の相続人に権利と義務が移ります。
たとえば:
- 子どもが放棄 → 親が相続人に
- 親も放棄 → 兄弟姉妹が相続人に
このように、相続放棄は連鎖的に次の人へ影響を及ぼします。
放棄する本人だけでなく、家族全体でよく話し合っておくことが大切です。
6. よくある失敗例と対策

失敗例①:相続財産の一部を使ってしまった
→「単純承認」とみなされ、放棄できなくなります。現金の引き出し、不動産の管理なども慎重に。
失敗例②:期限を過ぎていた
→3か月を過ぎると原則として放棄できません。例外もありますが、裁判所の判断次第です。
失敗例③:必要書類が不足していて、審査が遅れる
→戸籍の収集は時間がかかることもあります。早めに取り寄せておきましょう。
こうした失敗を防ぐためには、手続きの流れとルールを事前に把握しておくことが大切です。
7. まとめ:迷ったら早めに専門家へ相談を

相続放棄は、"自分を守るための大切な選択肢"です。
しかし、手続きは意外と煩雑で、期限や書類の不備で放棄が無効となるケースも少なくありません。
「借金があるかもしれない」「何をすればいいか分からない」という方は、一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
正確なアドバイスを受けながら進めることで、後悔のない相続放棄が可能になります。
✅次回予告:第3回「"遺産放棄"との違いとは?よくある誤解を解消しよう」
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