【第2回】空き家を放置するとどうなる?〜法的・経済的リスクを徹底解説〜

2025年09月16日

「空き家を放置しているとどうなるの?」「相続した実家が空き家のままになっているけど、何か問題ある?」
そんな声が最近増えています。実は、空き家を放置していると、法律上の責任や税金の増加、売却の困難化など、さまざまなリスクに直面する可能性があります。

本記事では、空き家を放置することによって生じる法的・経済的な問題について、司法書士の視点から分かりやすく解説します。
特に、特定空家に指定された場合のペナルティや、管理責任を怠った場合の賠償リスクなど、知らないと大きな損をするポイントも多々あります。
空き家問題の本質を知るためにも、ぜひ最後までお読みください。

目次

  1. 空き家を「放置する」とはどういう状態か
  2. 放置によって起こる主なリスク
  3. 「特定空家」に指定されるとどうなる?
  4. 空き家放置がもたらす経済的デメリット
  5. 放置が近隣住民に与える影響と責任
  6. まとめ:放置しない、動き出すことが最大のリスク回避策

1. 空き家を「放置する」とはどういう状態か

 「放置」とは、建物の維持管理が一切されていない状態を指します。
 戸締まりや草刈り、雨漏りや腐食の確認、郵便物の整理など、最低限の管理すらされていない空き家は、「放置」と見なされ、行政や近隣住民から問題視されることになります。

 所有者が管理義務を果たしていない場合、後述するような重大な結果を招くことがあります。

2. 放置によって起こる主なリスク

 空き家を放置することによる主なリスクには、以下のようなものがあります。

  • 建物の倒壊リスク火災の発生(電気系統・不審火など)
  • 不法侵入・不法占拠(いわゆる「空き家に勝手に住まれる」問題)
  • 草木の繁茂による衛生・景観悪化
  • 雨漏りや腐食が進み、資産価値がゼロになる
  • 賠償責任が発生するケースも(例:瓦が飛んで人に当たった等)

 これらの問題は時間とともに確実に進行し、放っておくほど対処のハードルが高くなります。

3. 「特定空家」に指定されるとどうなる?

 平成27年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、著しく管理が不十分な空き家は**「特定空家」**に指定されるようになりました。
 特定空家に指定されると、以下のような対応がなされます。

  • 行政からの改善命令・勧告
  • 従わなかった場合の行政代執行(解体)と費用請求
  • 固定資産税の住宅用地特例の解除(最大6倍に増税)

 つまり、長年放置していると税負担が急増し、最終的には行政が強制的に解体し、その費用を請求される可能性があるのです。

4. 空き家放置がもたらす経済的デメリット

 空き家を持っているだけで、年間数万円〜十数万円の固定資産税が発生します。
 さらに以下のような経済的損失が起こる可能性があります。

  • 建物が劣化し、売却価格が大幅に下落
  • 更地にしても「更地評価」で税金が上がる
  • 管理費や修繕費の支出が増える
  • 放置後に「特定空家」となると助成金対象から外れる

 また、相続後に登記をしていないと、売却・賃貸ができず、さらに手続きが煩雑になります(※これについては後日別回で解説します)。

5. 放置が近隣住民に与える影響と責任

 空き家は所有者だけの問題ではありません。
 例えば隣家の敷地に雑草や落ち葉が侵入したり、不審者が出入りするような事態が起これば、近隣トラブルの火種となります。

 さらに、台風や地震で瓦や外壁が飛散して隣家の窓を壊した場合、所有者が損害賠償責任を負うこともあります。
 放置していたがために、「想定外の出費」に繋がるケースも少なくありません。

6. まとめ:放置しない、動き出すことが最大のリスク回避策

 空き家は「所有しているだけ」でもコストがかかります。
 そして放置すればするほど、リスクも手続きも複雑化し、資産価値はどんどん目減りしていきます。

 もし現在、空き家を持っている、あるいは相続予定であるならば、まずは現状を確認し、早めに対応の道筋を立てることが大切です。
 司法書士や不動産会社、行政の空き家相談窓口など、活用できる専門家や制度はたくさんあります。

 次回は、**「空き家を活用する方法」**について、賃貸・売却・利活用などの選択肢を詳しくご紹介していきます。

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