相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第3回】「相続放棄」と「遺産放棄」は何が違う?誤解しやすいポイントをわかりやすく解説

「相続放棄」と「遺産放棄」、この2つの言葉、似ているようで実は全く異なる法律行為です。
相続に関する相談を受けていると、「相続放棄します」とおっしゃる方の中に、実は"遺産放棄"のつもりだったというケースが少なくありません。
どちらも「遺産をもらわない」という意志表示に見えますが、その法的な効果や手続き、取り扱いの重さは大きく異なります。
この記事では、混同されやすいこの2つの違いを明確にし、よくある誤解や注意点を事例を交えて解説します。
間違った認識のままだと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあるので、正しい知識を身につけましょう。
目次
- 「相続放棄」と「遺産放棄」——言葉の定義の違い
- 相続放棄は"家庭裁判所への申立て"が必要
- 遺産放棄は"相続人間の話し合い"で決まる
- 相続放棄は最初から相続人でなかったことになる
- 遺産放棄しても責任(借金など)が残ることがある?
- よくある誤解と注意点
- まとめ:本当に放棄したいのはどっち?判断の分かれ目とは
- ✅次回予告と無料相談のご案内
1. 「相続放棄」と「遺産放棄」——言葉の定義の違い

相続放棄は、法律上の相続人が、すべての相続財産(プラスもマイナスも含めて)を受け取らないとする行為で、
家庭裁判所に申し立てを行う"法的手続き"です。
一方、**遺産放棄(正確には「遺産を取得しない意思表示」)**は、相続人としての立場を維持したまま、個別の遺産を受け取らない選択をすることです。
これは家庭裁判所を通さず、相続人同士の遺産分割協議で「自分は何ももらいません」と表明する行為になります。
2. 相続放棄は"家庭裁判所への申立て"が必要

相続放棄は、民法第938条に基づく正式な申立て行為で、家庭裁判所に申述書を提出し、審査を経て受理されることで効力が生まれます。
申立てには原則3か月以内という期限があり、これを過ぎると「単純承認」されたと見なされ、放棄できなくなることも。
このように、相続放棄は司法手続きである点が大きな特徴です。
3. 遺産放棄は"相続人間の話し合い"で決まる
一方で遺産放棄は、遺産分割協議書の作成段階で「自分には何もいらない」と表明するケースが一般的です。
この方法には期限がなく、相続開始後ある程度時間が経っていても話し合いで決められます。
たとえば、長男が家業を継ぎ、次男が生前に学費や結婚資金の支援を受けていた場合、
「私は十分に支援してもらったから遺産はいらない」と遺産分割協議で次男が発言する——これが"遺産放棄"です。
4. 相続放棄は最初から相続人でなかったことになる

相続放棄の最大の特徴は、「はじめから相続人でなかったことになる」こと。
これにより、相続債務(借金など)も一切相続しないという効力が発生します。
たとえば借金を多く抱えた被相続人の場合、相続放棄をすれば借金の返済義務も一切負わずに済みます。
これは遺産放棄では不可能な効果です。
5. 遺産放棄しても責任(借金など)が残ることがある?

はい。遺産放棄(分割協議で「何も要らない」と言うだけ)では、相続人である立場は維持されるため、相続債務の返済義務は残る可能性があります。
つまり、遺産を受け取らないのに、後から借金の督促が来るという最悪の事態も起こり得るのです。
債務を含めたリスクを完全に排除したい場合は、相続放棄の申立てが必要です。
6. よくある誤解と注意点
誤解①:「遺産放棄したから、借金も放棄した」
→ 遺産分割協議書に署名しても、借金からは逃れられません。
誤解②:「兄弟で話し合って"放棄"したらもう終わり」
→ それは相続放棄ではありません。後からトラブルになることも。
誤解③:「分割協議で放棄したから相続人じゃない」
→ 相続人である限り、債権者が訴えてくる可能性はあります。
遺産をもらわない選択=相続放棄、ではないことをしっかり理解しておく必要があります。

7. まとめ:本当に放棄したいのはどっち?判断の分かれ目とは
ポイントは次の通りです:
- 借金などのマイナス財産を引き継ぎたくない → 相続放棄(裁判所手続き)
- 財産はプラスだけど、自分は他の兄弟に譲りたい → 遺産放棄(分割協議)
「放棄したつもりが、全然放棄になっていなかった」というトラブルは非常に多い分野です。
状況に応じてどちらが適切か、慎重に判断し、必要に応じて専門家に確認しましょう。
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