実務としては、旧樺太に本籍があった被相続人について遡る必要があるときは、外務省に戸籍を申請し、戸籍が保管されていないときは、「保管していない旨の証明」を取得します。こちらも無料で取得できます。保管していないことの証明に加え、他の内地の戸籍滅失同様に、相続人全員の「他に相続人がいないことの証明書(遺産分割協議書に併記可)」と印鑑証明書を添付することになります。
3.まとめ
初めに被相続人の戸籍に「満州国出生」の文字を見たときは、いったいどのように調査をすればいいのかわかりませんでしたが、調べていくうちに、戸籍の記録方法について詳細がわかりましたので、何とか調査を終えることができました。普通の戸籍の調査とあまり差はありませんでした。
以前、以前戦時中に疎開した先で爆撃にあい、戸籍そのものが滅失している場合があり、この時は、「滅失証明書」を市役所から発行していただき、その後の登記の際には、「他に相続人がいないことの証明」書と印鑑証明書を添付して登記をした経験があります。
樺太や北方領土で戸籍がない場合にも、同じような手順で添付書類を作成することになることがわかりました。北方領土については、釧路法務局根室支局で保管されていますので、おそらく北海道の根室に保管されてあったのかもしれませんが、樺太の方は、その土地で保管していたため、戦争後のソビエトの侵攻で滅失してしまったのでしょう。
戸籍をたどれば、改めて歴史を垣間見ることができます。その土地では、その方たちの普通の生活があったという痕跡がよくわかりました。