相続法律・税務無料相談会のご案内
令和8年1月14日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

近年、「司法書士はAIに取って代わられる」「将来性がない」といった言説を目にする機会が増えました。
確かに、登記申請や書類作成といった"定型業務"にAIが活用され始めており、「自動化が進む=仕事が減る」と感じる人がいても不思議ではありません。
しかし、実際に司法書士の現場で起きている変化を見てみると、単純に「なくなる職業」と言い切ることはできません。
本記事では、AIと司法書士業務の関係について、現場の動きや業務構造の変化をもとに、できるだけ客観的に整理してみます。
目次
1. AIが司法書士の仕事に与える影響とは

AI(人工知能)は、法律実務の分野にも急速に浸透しつつあります。
契約書の自動生成や文書チェック、登記申請書のドラフト作成など、従来は人の手で行っていた作業の一部が自動化されています。
司法書士業界でも、AIによる登記書類作成支援ツールや、相談内容を自動で整理するチャットボットなどが導入され始めています。
これにより、単純な事務処理の効率化は確かに進み、AIが担える範囲は広がっています。
ただし、こうした動きは「司法書士の仕事がなくなる」というよりも、業務の質と内容が変化していると見る方が現実に近いでしょう。
2. AIが得意とする領域とその限界

AIが最も得意とするのは、定型的でルールに基づくタスクです。
たとえば以下のような業務はAIの導入効果が高いとされています。
これらの業務は明確な手順や基準があり、AIのアルゴリズムが再現しやすい領域です。
一方で、AIが苦手とするのは「文脈を読み取る」「人の意図を汲む」「信頼関係を構築する」といった領域です。
司法書士の業務では、登記そのものよりも依頼者の目的を法的に整理し、最適な形で手続きを提案するという部分に本質があります。
たとえば相続登記の場面でも、単に登記簿を変更することよりも、「家族全体が納得する形にどうまとめるか」という調整が重視されます。
このような"価値観や感情を扱う仕事"は、AIが模倣するにはまだ距離があります。
3. 現場で起きている具体的な変化

司法書士の現場では、AIの活用が進む一方で、人の関与が不可欠な場面も依然として多くあります。
近年見られる主な変化は以下のとおりです。
このように、AI導入によって単純作業の比重は減る一方、人間にしかできない部分の比重が高まっているといえます。
4. 「AIで消える仕事」と「AIで進化する仕事」
AI時代の司法書士業務を俯瞰すると、仕事は大きく二つの方向に分かれつつあります。

AIの導入によって消えるのは「形式に沿って動くだけの業務」であり、考える・構築する・提案するといった創造的な領域はむしろ広がっています。
つまり、「AIで終わる仕事」ではなく、「AIによって形を変える仕事」へと進化している状況です。
5. 今後の司法書士業界が向かう方向性
今後の司法書士業界では、AIをどう取り入れるかが一つの分岐点になると考えられます。
単純作業をAIに任せ、専門家としての判断・提案に注力できる環境を整えることが重要です。
AIの進化によって求められるのは、
という方向性です。
そのため、これからの司法書士には「法律+AIリテラシー+人間理解力」という複合スキルが求められていくと見られます。
AIによって仕事がなくなるというよりも、仕事の重心が変わるという表現が正確でしょう。
6. まとめ:AIの登場は"終わり"ではなく"再編の始まり"
AIが登場したことで、司法書士業界にも確実に変化が訪れています。
しかし、それは「職業がなくなる」という変化ではなく、「業務構造が再編される」という変化です。
AIが得意な部分はAIに任せ、人が担うべき部分に集中する。
その結果、司法書士の価値は「作業」から「提案」「設計」「信頼形成」へと移行しつつあります。
つまり、「AIでオワコン」という単純な結論ではなく、
"AIによって進化する可能性を秘めた専門職"
という見方の方が、現場の実感に近いと言えるでしょう。

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