5.予備校受講でわかった自分の記憶領域の使い方
司法書士試験は11科目ととても多く、つながりの濃いものとそうでないものがあります。独学時代はごった煮の状態で対応してましたので、知識が断片化され、別の知識とくっついて誤った知識を形成していることもありました。予備校受講時代に入って、その辺りはクリアしつつありましたが、にわか知識と定着している知識があることがわかり、その違いについてどのようにマネジメントしていけばいいのかを考えていきました。
LEC受講生ならわかっていただけると思うのですが、1月から実力養成編という模試が始まります。これは、各科目の範囲指定で、いわゆる中学の定期試験のような模試になります。その後、4月からファイナル模試が始まります。これは、午前・午後の実際の試験を想定したいわゆる横断整理的な模試になります。最後に6月に統一模試があり、実戦さながらの問題が出てきます。
受験時代、塾講師の経験があり、自身もいろいろ生徒たちの点数を上げることに苦慮してきましたので、自分自身の知識の定着度合いを測りながら2回目の予備校受講を始めました。通常、短期記憶と長期記憶でお話をされる方が多いのですが、私の場合次の3種類になります。(完全に私の私見)
①短期記憶:一度は覚えられるが、時間経過でどんどん忘れてしまう知識
短期記憶は、中学の定期試験と同じで1週間の予備期間中に学習し試験をします。しかし、1週間後同じ試験をしても、おそらく同じ点数は取れないでしょう。なぜなら、反復継続の訓練期間があまりにも短いためです。体感的に3日から1週間で消えてしまう知識です。
➁長期記憶:ある一定の期間反復継続の暗記である程度定着した知識
長期記憶は、中学受験の夏休みに反復継続して今まで学習した内容をまとめテキストを使って繰り返し勉強して定着させていきますよね。そうすることで模試なんかの試験には対応できるようになってくると思います。しかし、横断整理的な問題の対応は半分ぐらいしかできないと思います。
この記憶の特長は、中途半端に消えることです。短期記憶は触れない期間が長いときっちり消えてくれますが、長期記憶の場合、残留物的な記憶が残る場合が多いです。残るだけならいいのですが、これが、新たに学習した知識とくっついて「わけのわからない記憶」が形成される可能性が非常に高いです。最も注意すべき記憶となります。
体感的には、2週間ぐらい反復継続して学習したときに長期記憶になると思います。しかし、2週間から1か月放置しておくことで、残留記憶になります。
③定着記憶:長期記憶をうまくマネジメントすることで、完全な記憶にしていきます
内容だけ見ると唯一無二の記憶のように見えるかもしれませんが、この定着記憶も1か月から2か月触れていないと忘れます(笑)。
しかし、長期記憶と異なる点があります。それは、少し学習すると完全に思い出せる点です。つまり、残留物状態ではなく、単純に忘れているだけなんですよね。だから、時間がたっても全体の形は残っています。
2年目の予備校は、同じく「実践力Power Up講座(海野貞子先生)」を専攻しました。しかし、コロナで試験日が延期。完全に調子を崩されました。私が司法書士を目指したのは、「年をとっても手に職を付けて死ぬまで働きたいから」です。当時、コロナは得体のしれないウイルスでした。試験会場で模試を受けるという気持ちにはどうしてもなれず、2回目も惜敗でした。
6.定着記憶の補強作業としての「自己プレゼン」
定着記憶がストックされ始めますと、他のつながりなんかが見え始めてきます。そこで、これらを強固にするために「自己プレゼン」をすることを私は毎日1時間から2時間程度行っていました。いわゆる、今でいうところの法律相談業務に対応するための知識のストックだと思いますが。どんな質問にも、ある程度の根拠をもって答えられるようにしておかないとだめですからね。
この「自己プレゼン」かなり強力です。はじめのうちは、たとえば憲法の論点だけであるとか、刑法の論点だけと範囲が小さい状態で行っていきますが、民法、会社法、不動産登記法、商業登記法なんかは範囲が広く、かつ実務で密接に関連する事項が多いことから、暗記した知識の深堀作業(範囲を広げていくという意味)には、適しています。
当時、私はアパートのベランダで、ぶつぶつつぶやきながら「自己プレゼン」していましたが、近所から苦情が来るようになったので、自室でするようになりました。
今も、法律相談なんかで相談された内容を精査しながら、次回来訪時にサービスの確定をするため、相談者の方に納得してそのサービスを受けてもらうために、時々事務所でやってます。法律相談の事前予約で、解っている情報から「自己プレゼン」で一方的ではなく、客観的にこれなら大丈夫という形に仕上げていきますので、やはりトレーニングが必要です。
7.予備校3回目の受講で考えたこと
予備校の3回目の受講は「択一ターゲット攻略講座(根本正次先生)」です。なぜ実践力にしなかったのかというと、良くなかったというわけではなく、もうこれ以上、同じ視点から司法書士試験を見ても得られるものが少ないと考えたからです。視点を変えることで、今まで理解がおぼろげだったものがはっきり見えてくることもあると考えたからです。
実際、講師を変えていろいろ見え方が異なってくるものもありましたよ。
特に、この年には、ZOOMを使ったリアルタイム受講がはじまり、毎回必ず受講していました。配信を選択すると、予定が優先されて、結果学習が遅れることもありましたからね。
最終的に令和3年度には、午前33問・午後32問・記述58点の総合4位で合格することができました。合格は確信していましたが、ミスもあったのに4位であったことに驚きました。と同時に、即独の気持ちが強くなってきました。