家族信託を使えば万事解決?司法書士が解説する「万能神話」の落とし穴【2026年版】

2026年01月20日

「家族信託を使えば、相続も認知症も全部解決する」
最近、こうした説明を耳にする機会が増えました。

しかし結論から言うと、家族信託は万能ではありません。
確かに非常に優れた制度ですが、
向いていないケースで使うと"逆にトラブルを増やす"こともあります。

実務では
家族信託は"主役"ではなく、数ある生前対策の一つ
として位置づけることが重要です。

目次

  1. 家族信託とは?注目される理由
  2. ❌ 誤解「家族信託を使えば何でも解決する」
  3. 家族信託で「できること」
  4. 家族信託で「できないこと」
  5. 実務で実際に起きている失敗例
  6. 家族信託が向いているケース
  7. 家族信託が向かないケース
  8. 正しい生前対策の組み合わせ設計
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ|家族信託は"強力だが限定的な道具"

1. 家族信託とは?注目される理由

家族信託とは、
自分の財産を信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる仕組みです。

特に注目されている理由は、

  • 認知症になっても財産管理が止まらない
  • 成年後見より自由度が高い
  • 不動産の管理・売却がしやすい

👉 これだけを見ると
「これさえやれば安心」と思ってしまいがちです。

2. 誤解「家族信託を使えば何でも解決する」

実務でよく聞く言葉です。

  • とりあえず信託しておけば大丈夫
  • 遺言はいらない
  • 相続対策も全部できる

👉 これは危険な誤解です。

家族信託は
「財産管理・運用」に強い制度であって、
相続全体を解決する制度ではありません。

3. 家族信託で「できること」

認知症後の財産管理

  • 賃貸管理
  • 修繕
  • 売却

👉 成年後見に比べ、非常にスムーズです。

不動産の柔軟な管理

  • 空き家対策
  • 将来の売却を見据えた管理

👉 不動産オーナーには特に有効です。

家族内での管理ルール明確化

  • 誰が管理するか
  • どこまで権限があるか

👉 「何となく管理」を防げます。

4. 家族信託で「できないこと」

相続人同士の感情対立の解消

信託契約があっても、

  • 不公平感
  • 納得できない気持ち

👉 感情問題は残ります。

相続税対策の自動解決

家族信託をしても、

  • 相続税が減るわけではない
  • 税務設計は別途必要

👉 「節税になる」は誤解です。

すべての財産問題の解決

  • 預金
  • 保険
  • 年金
  • 身上監護

👉 家族信託は カバー範囲が限定的 です。

5. 実務で実際に起きている失敗例

✔ 不動産だけ信託
→ 預金は未対策
→ 認知症後に口座凍結

✔ 信託契約だけ作成
→ 遺言なし
→ 相続時に争い発生

✔ 相続人全員の理解なし
→ 「聞いていない」トラブル

👉 制度単体で考えた結果です。

6. 家族信託が向いているケース

次のような場合、家族信託は非常に有効です。

  • 不動産が主な財産
  • 将来の認知症リスクが高い
  • 信頼できる受託者がいる
  • 管理・処分を柔軟にしたい

👉 ピンポイントで使うと強力です。

7. 家族信託が向かないケース

一方、注意が必要なケースもあります。

  • 相続人が多く関係が複雑
  • 財産が少額
  • 家族関係に不安がある
  • 継続的な管理が難しい

👉 この場合、
遺言・任意後見・財産管理契約
の方が適することもあります。

8. 正しい生前対策の組み合わせ設計

実務の結論は明確です。

✔ 家族信託=管理対策
✔ 遺言書=相続対策
✔ 任意後見=判断能力低下対策

👉 組み合わせて初めて完成します。


9. よくある質問(FAQ)

Q. 家族信託をすれば遺言はいりませんか?
A. 多くのケースで遺言は必要です。

Q. 家族信託は途中でやめられますか?
A. 契約内容次第で制限があります。

Q. 誰でも使うべき制度ですか?
A. いいえ。向き不向きがあります。


10. まとめ|家族信託は「強力だが限定的な道具」

家族信託は、

  • 万能ではない
  • 使いどころが重要
  • 設計次第で効果が大きく変わる

👉 「何でも解決する制度」ではありません。

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