相続法律・税務無料相談会のご案内
令和7年2月12日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
私も行政書士の資格を登録して業務を行っているため、行政書士業界で起こっている事件などについては、どうしても敏感になってしまいます。前から問題になっている「職務上請求」による「戸籍不正取得事件」の話と、テレビ大分が報じた10月18日の事件について触れたいと思います。
目次
1.職務上請求とは
2.職務上請求を使った事件
3.テレビ大分が報じた事件
4.まとめ
1.職務上請求とは
職務上請求書とは、 行政書士などの職務に従事している者が、 職務を遂行するに際し て戸籍謄本等・住民票の写し等を取得する必要がある場合に、その使用が認められる請 求書です。
つまり、業務を受任した場合、依頼者から委任状をもらうことなく、戸籍謄本や住民票を取得できる請求書類になります。
2.職務上請求を使った事件
①2021年11月20日(毎日新聞記事引用)
知らずに漏れた3500通の個人情報 交際相手の母が「身辺調査」
「あんた、調べられてんで」。2020年4月、兵庫県警姫路署に相談に訪れた40代の男性会社員は、元妻から言われて被害に気付いた。元妻の自宅周辺を、探偵が聞き込みに回っているという。男性が心配して市役所で照会すると、自分の個人情報が何者かに取得されていたことが分かったというのだ。
男性は当時、女性医師と交際していた。ただ、医師の母は2人の交際に納得せず、関西地方の探偵業者に男性の身辺調査を頼んでいた。県警の捜査で、探偵業者から依頼を受けた宇都宮市の行政書士(51)が約2カ月前、姫路市役所から男性の戸籍謄本などを取り寄せていたことが分かった。
県警は21年8月に2回、この行政書士を戸籍法違反などの疑いで逮捕。目的を偽り、男性を含めて計9人の戸籍謄本などを姫路市や大阪市などから不正取得した容疑だった。探偵業者から依頼を受け、取得した戸籍謄本などを渡していたといい、姫路簡裁から罰金100万円の略式命令を受けた。
一連の捜査で、行政書士は約5年間で全国の探偵55社から依頼を受け、計約3500通の戸籍謄本などを不正に取得していたことが判明。1通につき手数料は2万~4万円で、県警は計約7000万円の報酬を得ていたとみている。
➁2023年1月26日(大阪府行政書士会記事引用)
懲戒処分…個人情報が欲しくて「請求書」を使った行政書士、業務禁止3年間に 訴訟めぐり依頼されていた。
埼玉県は24日、行政書士の職務上請求書を目的外で使用したなどとして、行政書士法に基づき、さいたま市北区日進町2丁目の行政書士を業務禁止の懲戒処分にしたと発表した。業務禁止処分は県では2018年以来、2例目。禁止期間は25日から3年間。
③2023年10月10日(毎日新聞記事引用)
他人の戸籍謄本を不正に取得したとして、愛知県警は10日、行政書士でウェブデザイン会社代表、A(46)=金沢市=と探偵事務所経営、B(40)=名古屋市中区=の両容疑者を戸籍法違反などの疑いで逮捕した。
県警によると、B容疑者が探偵事務所の身辺調査に使うため、戸籍謄本などの取得を依頼。A容疑者は、行政書士が戸籍謄本などを取得する際に使う「職務上請求書」を悪用し、報酬を受け取っていたとみられる。
逮捕容疑は共謀して2021年7月~22年2月、職務上請求書に「婚前契約書の作成を依頼された」などと虚偽の記載をして、6人分の戸籍謄本と住民票の写し計10通を不正に取得したとしている。県警は2人の認否を明らかにしていない。
今年1月に名古屋市の女性から、「戸籍謄本が不正取得された」と県警に告発があった。同市には戸籍謄本の写しなどを第三者に交付した場合、事前登録した本人に通知する制度があり、不正取得に気づいたという。
ここで紹介したのはほんの一部です。ここで気づいた方もおられると思いますが、職務上請求の不正利用に関与しているのが、「興信所」や「探偵事務所」であるという点。
あまりぱっとしない行政書士に声をかけて、悪の道に行ってしまったのでしょう。
3.テレビ大分が報じた事件
令和5年10月18日(テレビ大分記事引用)
必要な届け出をせずに事務員に補助業務をさせたなどとして、大分県は行政書士を業務停止の懲戒処分としたと発表しました。
懲戒処分となったのは、大分県別府市に事務所を構えるX行政書士です。
県によりますと、行政書士法に基づく必要な届け出を行わずに、事務員に補助者として書類作成などの業務を行わせていました。
X行政書士は、届け出が必要と認識していなかったということです。
この事務員は、業者に依頼された建設業許可申請について、県への申請をせず偽造した許可通知の写しを作成し交付していました。
行政書士への相談もしていなかったということです。
X行政書士によりますと、去年9月、社内で書類のチェックをした際に不審な点があったため、県に確認したところ偽造が発覚しました。
この事務員はすでに事務所を退職しています。
県は、行政書士法の補助者届出義務や信用および品位保持義務などに違反するとして、12日付でX行政書士を15日間の業務停止処分としています。
4.まとめ
いろいろ言いたいことはあるのですが、独立開業して行政書士として頑張っている先生方を、私はたくさん知っています。いや、あなたは司法書士の資格も持っているからのんきなことが言えるんですよ、とおっしゃる方がいるかもしれません。
しかし、私は、それは違うと思います。司法書士であったとしても、参入障壁が低いだけで、仕事をきっちりとっていくための集客の環境づくりは、司法書士も行政書士も変わらないと考えております。マーケティング、集客の仕組みづくりをきっちりやらないと、廃業に追い込まれるのは同じです。
行政書士試験も今年から、行政書士法を試験科目に入れましたが、自分がやっている業界の法令を知らないのでは、話になりません。いやしくも法令に携わる人間が、法令を知りませんでした(補助者を登録するのを知りませんでした)というのであれば、法令に携わるべき人ではないということになります。全員とは言いませんが、法令順守の意識がやはり低いのかなと思ってしまいます。
以前から、こういった事件を目にしますし、私の所属する単位会での研修などでも、このような内容を聞くことはあったので、今回この記事を書くかどうか本当に迷いました。しかし、抜本的に行政書士資格の構造を見直さないと、今後行政書士という資格自体が危機にさらされてしまうと思います。
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