4.決済用口座と信託口口座の金融機関破綻の場合のリスク(ペイオフ対策)
ペイオフとは、預金保険制度に加盟している金融機関が破綻した場合の、預金者保護の方法のひとつである「預金者への保険金の直接支払い(ペイオフ方式)」のことを言います。取扱金融機関が破綻し、かつペイオフ方式が適用された場合は、一定額まで払い戻しをする仕組みのことを言います。
平成17年4月以降、実際に金融移管が破綻した場合、1金融機関1預金者あたりの元本1,000万円までと、その利息等が保護の対象となります。保護の基準を超える部分は破綻金融機関の財産の状況に応じて支払われます。
信託口口座も通常の預金形式である場合には、受託者(委託者の預金を管理運用する人)と紐付けされている場合ですと、受託者の預金の残高+信託口口座の残高の合計が、1000万円+その利息を超えている部分については、金融機関が破綻した場合、保護の対象とはなりません。(金融機関によっては受益者に紐づけされているケースもありますので、ご契約先の金融機関にご確認ください。)
一方で、決済用口座について、「3条件(1.決済サービスを提供できること、2.預金者がいつでも払戻しを請求できること、3.利息がゼロであること)を満たす「決済用預金」は、引続き全額保護」となります。
5.まとめ
遺産承継業務でよく利用する決済用口座ですが、単体では差押え等の強制執行のリスクがありますが、信託口口座とすることで強制執行のリスクを避けることができます。
しかし、信託口口座を普通口座と同じ利息付きの口座で作成してしまいますと、ペイオフのリスクが発生します。特に、受託者には善管注意義務や損失てん補義務があります。
信託口口座を作成する際に、「無利息の決済用口座で作りたい」と言えば作ってもらえると思います。
預貯金が1000万円を超える場合は、受託者の管理する信託口口座は無利息型の決済用口座にしておいた方が良いでしょう。
※信託口口座開設には、所定の手数料が必要になります。おおむね5万円から10万円ほどです。また、月額で管理費用が発生する金融機関もございますので、利用する先の金融機関にご確認ください。