第2回:実家の名義は“誰のまま”?相続登記をしていないリスクと年末チェック

2025年12月24日

年末に実家へ帰ると、普段は気づかない「名義の問題」が浮き上がることがあります。実家の登記名義が故人のまま放置されているケースは非常に多く、相続登記義務化が始まった今、放置すればリスクは年々増加します。本記事では、年末に必ず確認したい"名義の現状"と未登記による具体的な問題を司法書士の視点から解説します。

目次

  1. 年末帰省は「名義問題」に気づく絶好のタイミング
  2. 相続登記をしていないと何が起きるのか
  3. 実家の名義が"昔のまま"になりやすい理由
  4. 年末に家族と確認したい名義のチェックポイント
  5. 未登記のまま放置した場合の法的リスク
  6. 相続登記義務化(3年ルール)の整理
  7. トラブル事例:名義放置で実家が動けなくなったケース
  8. まとめ — 名義の確認は「実家の未来を守る最低限の点検」

1.年末帰省は「名義問題」に気づく絶好のタイミング

 「この家の名義って、いま誰になっているんだろう?」
実家に帰ったとき、ふと頭をよぎることはありませんか。

司法書士として日々相談を受けていると、
『名義が40年前のまま』
『祖父のまま誰も知らなかった』
といったケースは決して珍しくありません。

普段はスルーしがちな名義の問題も、年末に帰省すると、

  • 書類整理をするタイミング
  • 固定資産税通知が目に入る
  • 家族が揃って話しやすい

といった理由で、名義問題が"明らかになる"きっかけが生まれます。
 実は、年末は名義確認に最も適したタイミングなのです。

2.相続登記をしていないと何が起きるのか

 2024年4月から、相続登記は義務化されました。
これにより、
相続を知った日から3年以内に登記をしなければならない
というルールが全国で適用されています。

相続登記未了のままで放置すると、次のような問題が発生します。

売却・賃貸ができない

名義が亡くなった人のままだと、契約書も決済も進みません。

兄弟に連絡を取らないと手続きできない

相続人が増えるほど、意思統一が難しくなります。

空き家の修繕・解体に補助金が使えないことも

自治体の制度は"現名義人"が申請者。未登記では申請不可のケースが多い。

放置すると「所有者不明土地」化してしまう

連絡の取れない相続人がいると、実家が"動かない資産"になります。

登記をしないことは、"問題の先送り"ではなく、
**「問題を積み増す行為」**と考えるべきです。

3.実家の名義が"昔のまま"になりやすい理由

 なぜ実家の名義は放置されがちなのか。
理由は次の4つに集約されます。

名義を変えていないことに家族が気づいていない

「父が亡くなったけど、そのまま住んでいたから大丈夫だと思った」とよく聞きます。

手続きの優先順位が下がる

葬儀・生活の変化・仕事の忙しさ…気づいた時には数年経過。

手続きが複雑だと思われている

専門家に相談すれば1〜2か月で完了するケースでも、"難しそう"というイメージで放置されがち。

共有者が多い・連絡が取りにくい

「名義が祖父のまま」「相続人が全国に散らばっている」など典型例です。

名義放置は"怠慢"ではなく、"仕組みとしてそうなりやすい"と言えます。

4.年末に家族と確認したい名義のチェックポイント

実家の登記名義がどうなっているかは、年末に帰省した際に次の資料を見ると把握できます。

固定資産税納税通知書

  • 名義が誰になっているか
    ・住所が昔のままか

これが最も手軽な名義確認方法です。

法務局の「登記事項証明書」

  • 現名義人
    ・共有者の有無
    ・権利関係(抵当権など)

→ 法務局やオンラインで取得可能。司法書士に依頼すれば代行もできます。

名義人が亡くなっているかどうかの確認

意外と多いのが、
「名義が祖父のまま。祖父の亡くなった年すら不明」
というケース。

→ 年末に戸籍関係をまとめて整理する絶好の機会です。

家族の意向

  • 誰が家を相続するのか
    ・誰が住む予定なのか
    ・売却や賃貸の意向はあるか

名義確認は"未来の話し合い"の出発点にもなります。

5.未登記のまま放置した場合の法的リスク

相続登記をしないと、後から次のようなトラブルが一気に噴出します。

相続人が増え、意思統一が不可能になる

相続人が10人、20人に増えるケースも珍しくありません。

遺産分割協議ができない

相続人の一人でも行方不明の場合、家庭裁判所の手続きが必要に。

売却ができない

名義が故人のままでは、不動産会社も取引に応じられません。

相続登記義務違反で過料

正当な理由なく3年以上放置すると、10万円以下の過料があり得ます。

所有者不明土地として扱われる

公共事業や地域の道路計画が止まるなど、第三者にも影響が出る可能性。

名義を放置するほど、問題は"指数関数的"に膨らむのが現実です。

6.相続登記義務化(3年ルール)の整理

【義務内容】
相続によって所有権を取得した場合、
相続を知った日から3年以内に相続登記をする義務があります。

【対象】
全国すべての不動産(宅地・家屋・農地・山林・空き地など)

【罰則】
正当な理由なく登記をしない場合、
10万円以下の過料の可能性があります。

【重要ポイント】
年末に「名義が誰なのか」を確かめておくことで、
**義務のスタートライン(3年間)**を正確に把握できます。

7.トラブル事例:名義放置で実家が動けなくなったケース

司法書士としてこれまで対応した相談から、典型的な事例を紹介します。

【事例1:父名義のまま20年放置 → 売却ができない】

  • 実家は父名義
  • 父が亡くなった後、母と兄弟が住み続けていた
  • 売却しようとしたところ、相続人6名が署名を求められた
  • うち1名の連絡が取れない

→ 結果:売却まで1年7か月。家庭裁判所の手続きが必要となり、高額な費用も発生。

【事例2:祖父名義 → 相続人17名】

  • 名義が祖父(昭和40年代の登記)
  • 相続人が全国に散らばる
  • 誰も管理しておらず空き家化
  • 固定資産税の通知すら宛先不明で返送

→ 結果:相続登記に1年以上。解体費用も200万円以上。

【事例3:名義不正確で補助金が使えない】

  • 老朽化した実家を解体したい
  • 市の補助金を利用しようとした
  • ところが、名義が父(故人)のままで申請不可

→ 結果:補助金を逃し、全額自己負担に。

8.まとめ — 名義の確認は「実家の未来を守る最低限の点検」

 実家の名義問題は、早い段階で確認すれば必ず負担は小さくできます。
年末は、家族が揃い、書類を見直し、冷静に話し合える貴重なチャンスです。

  • 名義が誰になっているか
  • 相続の有無
  • 兄弟の意向
  • 空き家化の危険性

 この4つを確認しておくだけで、
「売りたい」「貸したい」「残したい」
いずれの判断が必要になっても、スムーズに動くことができます。

司法書士として、年末の今こそぜひ一度、実家の名義問題を点検していただきたいと強く感じています。

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