相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
第5回:「“書いたあと”が本当のスタート」──遺言の保管・見直し・伝え方

遺言書を書いた瞬間に、すべてが終わるわけではありません。
むしろ大切なのは「書いたあと」。
どこに保管するか、家族にどう伝えるか、そして人生の変化に応じて見直すこと──。
今回は、遺言書を"生きた書類"として活かすためのポイントを、司法書士がやさしく解説します。
◆目次
- 「書いたら終わり」ではない、遺言書の本当の役割
- 保管──安心して残すための3つの方法
- 見直し──5年に一度は内容チェックを
- 伝え方──"開けられない遺言書"にしないために
- 司法書士がサポートできること
- まとめ──遺言は、家族への"未来の手紙"
1. 「書いたら終わり」ではない、遺言書の本当の役割

多くの方が、「遺言書を書き終えた」ことで安心します。
けれど実際には、そこからが本当のスタートです。
遺言書は、**書いた本人の意思を未来に届けるための"生きた書類"**です。
保管の仕方、家族への伝え方、内容の見直し――
どれかひとつが欠けても、「せっかく作ったのに使えない」状況になりかねません。
司法書士としてご相談を受ける中でも、
「遺言書が見つからなかった」「古い内容のままだった」
といったケースが少なくありません。
大切なのは、**"書いてからも動かす"**こと。
その意識が、家族の安心を守ります。
2. 保管──安心して残すための3つの方法

せっかく作った遺言書も、見つからなければ意味がありません。
まずは、**「どこに保管するか」**を明確にしておきましょう。
(1)自宅で保管する場合
最も手軽ですが、火災・紛失・改ざんのリスクがあります。
金庫や防火キャビネットなど、安全な場所を選びましょう。
ただし、「どこに保管しているか」を家族が知らないと、
遺言が発見されずに相続が進んでしまうこともあります。
(2)法務局の「自筆証書遺言書保管制度」
自筆証書遺言を法務局で預けられる制度です。
保管証が発行され、検認も不要になるため、近年非常に利用が増えています。
全国の法務局で申請可能です。
※内容の確認までは法務局は行いませんので、司法書士の事前確認がおすすめです。
(3)公証役場で保管(公正証書遺言)
公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されます。
家族は「遺言書検索システム」で確認でき、紛失の心配がありません。
最も確実性が高く、将来的な発見漏れがほとんどない方法です。
3. 見直し──5年に一度は内容チェックを

遺言書は、一度書いたら一生そのままでいい…というものではありません。
人生が変われば、財産も家族関係も変わります。
以下のようなタイミングでは、必ず内容を見直すことをおすすめします。
- 相続人(配偶者・子・兄弟など)の変動
- 不動産の売却・購入
- 会社退職・年金開始・相続税制度の改正
- 孫の誕生や家族構成の変化
- 家族間の関係性の変化(再婚・介護・別居など)
特に「5年に一度」は、**"遺言の健康診断"**として司法書士などの専門家に確認してもらうと安心です。
小さな変更なら「付言事項(メッセージ部分)」の書き換えでも十分効果があります。
4. 伝え方──"開けられない遺言書"にしないために

書いた遺言書が、誰にも知られないまま押し入れに眠っている…
この状態が、もっとも危険です。
遺言書は「いつ・どこで・誰が」確認できるかを明確にしておくことが大切です。
▪伝え方のポイント
- 信頼できる家族に"存在"だけを伝える
内容までは話さなくても、「遺言書を作成した」「保管場所は○○」だけは伝えましょう。 - 遺言執行者を決めておく
司法書士や信頼できる第三者を「遺言執行者」に指定しておくと、
相続開始後もスムーズに手続きが進められます。 - エンディングノートとセットで
財産の分け方だけでなく、葬儀・お墓・デジタル資産など、
"想い"の部分をエンディングノートに記しておくと、家族にとっての道しるべになります。
5. 司法書士がサポートできること
司法書士は、遺言書を「書く前」から「書いたあと」まで、一貫して支援できます。
- 保管制度の手続き代行
- 公証役場との調整・立ち会い
- 見直しや改訂時の助言
- 遺言執行者としての実行支援
特に「書いた遺言をどう活かすか」は、専門家の関与で大きく変わります。
"使える遺言"にするためにも、定期的な点検と伴走支援をぜひ活用してください。
6. まとめ──遺言は、家族への"未来の手紙"
遺言書は、「財産を分けるための書類」ではなく、家族へのメッセージです。
保管・見直し・伝え方という3つの工夫を加えることで、
それは「残す」だけでなく、「つながる」遺言になります。
人生は変化します。だからこそ、遺言も更新していいのです。
書いたあとも、定期的に見返して、あなたの想いを未来につなげてください。

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