(法改正)不動産登記規則等一部改正で「メールアドレスの届出」が義務化?

2024年11月03日

2026年4月1日からの不動産登記に関する重要な法改正として、不動産所有者は氏名住所変更があった場合に、氏名住所変更登記を義務化されます。これに違反した場合、罰則が科される予定(最大5万円以下の過料)です。この改正の背景には、登記情報を常に正確に保つことで、不動産の相続や売買に関わる手続きがスムーズに進められるようにする目的があります。さて、どのような点が今回変更になったのでしょうか。(現在e-govサイト上で12月2日まで、パブリックコメント募集中です。)

目次

1. 住所変更登記の義務化と罰則

2. 定期的な登記名義人情報の照合

3. 職権による住所変更登記前の意思確認

4. 電子メールアドレスの届出義務化

5. 登記情報の正確性向上の目的

6. 今後の対応と所有者への影響


1. 住所変更登記の義務化と罰則

 2026年4月1日から、不動産所有者に対して住所変更登記が義務付けられます。この改正は、不動産登記の正確性を高め、所有者に関する情報を最新の状態に保つことを目的としています。住所変更があったにもかかわらず、登記を行わない場合には罰則が科される予定であり、これにより所有者の責任が強化されます。

2. 定期的な登記名義人情報の照合

 法務局は、不動産の登記名義人の住所情報を定期的に住民基本台帳と照合します。これは、所有者が適切に住所変更登記を行わなかった場合でも、法務局が所有者の住所情報を把握できるようにするための措置です。照合の結果、住所変更が必要であると判断された場合、登記官が職権で住所変更登記を行うことになります。

3. 職権による住所変更登記前の意思確認

 職権による住所変更登記を行う前に、法務局は登記名義人に対して住所変更の意思確認を行います。これにより、登記名義人が誤って登記が更新されるのを防ぎ、所有者自身が適切に対応できる機会を確保します。この確認手続きが円滑に行われるための手段として、電子メールによる連絡が採用される予定です。

4. 電子メールアドレスの届出義務化

 今回の改正では、住所変更登記の際に電子メールアドレスの届け出が義務化される見通しです。これにより、登記名義人と法務局との間での連絡がより迅速かつ確実に行われることが期待されます。電子メールは、郵便に比べて迅速な連絡手段であり、所有者が重要な通知を逃すリスクが減少します。

不動産登記規則等一部改正案一部抜粋
不動産登記規則等一部改正案一部抜粋

5. 登記情報の正確性向上の目的

 この制度改正の目的は、所有者の住所が最新の状態で保たれることにより、相続や売買に関する不動産取引がスムーズに進行するようにすることです。特に、相続時に所有者が特定できないなどの問題を防ぐため、登記情報の正確性が重要視されています。今回の法改正により、不動産登記のデジタル化が進み、所有者が迅速に登記を更新できる環境が整備されます。

6. 今後の対応と所有者への影響

 不動産所有者は、2026年の改正に備えて住所変更登記を確実に行う必要があります。特に、住所変更が生じた場合には速やかに登記を行い、電子メールアドレスの届け出も忘れずに行うことが求められます。この義務化により、不動産登記の管理が徹底されるとともに、所有者は登記情報の更新を怠ることによる不利益を避けることができます。

 今回の法改正によって、不動産登記における手続きがより透明かつ効率的に行われるようになることが期待されており、所有者はその変化に適応する必要があります。

参照元:e-govパブリックコメント

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080314&Mode=0

下の画像をクリックしてもリンク先を表示することができます。

最新のブログ記事

最新情報をメールで受け取る

中小企業の事業承継において最も重要な資産が「株式」です。会社の経営権をスムーズに移すためには、自社株の贈与や譲渡をどう扱うかが鍵になります。しかし、株式の贈与には相続税とは異なる"贈与税"の高い壁が立ちはだかります。
この記事では、自社株式を子や後継者に贈与する際に注意すべき**税務上の3つのポイント(評価・時期・特例)**を解説しながら、節税しつつ確実に承継を進めるための実践的な対策を紹介します。

令和7年10月15日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

事業承継を考える際、よく見落とされるのが「不動産の名義」です。特に地方の中小企業では、工場や店舗の建物は法人名義でも、その敷地(土地)は創業者個人の名義のままというケースが多く見られます。
このような状態で経営者が亡くなると、土地は相続財産として相続人全員の共有名義となり、事業と相続が絡み合う深刻なトラブルに発展することがあります。
本記事では、実際にあった事例をもとに、名義の整理がされていないことで起こるリスクと、事前にできる対策について解説します。

相続手続きでは、法定相続人全員による合意が必要です。ところが、血縁関係であっても、過去の確執や複雑な家庭環境から、「話し合いに応じない」「印鑑を押さない」相続人がいるケースは少なくありません。
とりわけ、前妻との間の子どもや、特定の相続人との関係が悪化していた兄弟姉妹が相続人となっている場合、感情的対立が協議を頓挫させる原因になります。
本記事では、感情的な理由で相続に協力しない相続人への対応方法と、手続きを前に進めるための具体的な解決手段を解説します。また、こうした状況を回避するための遺言書の活用方法もご紹介します。

<