しかし、連れ子を再婚相手が養子縁組した場合、その法的地位は大きく変わります。養子縁組が成立すると、連れ子は法律上の「子」となり、再婚相手との間に法的な親子関係が生じます。この結果、養子は再婚相手の法定相続人として認められ、実子と同等の相続権を有します。つまり、養子縁組によって、連れ子は再婚相手の相続財産を相続する権利を持つことになります。
具体的には、再婚相手が亡くなった場合、その相続人は配偶者と子供(養子を含む)となります。もし配偶者と養子が相続する場合、相続分は民法の規定により、配偶者が1/2、養子が1/2となります(他に相続人がいない場合)。
3. 例外的な取り扱い
ただし、養子縁組後の相続においても、養子縁組が形式的に行われた場合、つまり相続対策としてのみ行われ、実質的な親子関係がない場合には、裁判所が養子縁組を無効と判断することがあります。このような場合、相続権が否定される可能性もあります。
また、養子縁組した連れ子が他の兄弟姉妹と共同で相続する場合、遺産分割協議において、遺留分や相続分の取り決めが必要となります。遺留分は、法定相続人が最低限相続できる割合であり、養子縁組が行われたとしても、他の相続人との間で相続分が調整されることがあります。
4. 養子縁組して相続権はあるが、あなたがしておくべき手続
あなたが仮に亡くなり、相続が発生した場合について考えてみましょう。確かに養子縁組した連れ子の方には、相続権は発生しています。遺産の分割協議をすることになりますが、この協議は相続人全員の参加が必要です。もし、再婚前のあなたの前妻との間にお子様がいる場合、このお子様も相続人となり、協議に参加して署名、実印による押印、印鑑証明書の提供がなければ、遺産分割協議は成立しません。果たして、前妻との間の子供が、気持ちよく協議に参加してもらえるような関係が構築できているならいいのですが、そうでない場合、協議は難航します。
相続発生時の遺産分割協議という負担を残された家族に残さないためにも、「遺言書」(できれば公正証書遺言)の作成をアドバイスしております。このような状況にある方は、年齢に関係なく公正証書遺言を作成しておくことがいいと思います。人間いつ亡くなるか誰にもわかりませんからね。