4. 電子決済の普及
手形や小切手の廃止に伴い、電子決済の普及が一層進むことが予想されます。特に以下の決済手段が主流になると考えられます。
振込: 既に多くの企業が利用している振込は、即時決済が可能であるため、手形に代わる決済手段としてさらに重要な役割を果たします。
クレジットカード決済: 商品やサービスの購入時に迅速に決済が完了するため、利便性が高いです。
オンライン決済システム: PayPalやSquareなど、インターネットを介した決済手段がますます広がり、手形の代替手段として注目されています。
5. メリット
手形や小切手の廃止には、次のようなメリットがあります。
事務手続きの簡素化: 紙ベースの手形や小切手の処理が不要となり、書類管理や郵送コストが削減されます。
決済スピードの向上: 電子決済によって、取引が即時に処理されるため、資金の移動がスムーズになります。
不正のリスク低減: 紙の手形や小切手に伴う偽造や不正リスクが軽減されます。
6. デメリット・課題
一方で、手形や小切手の廃止にはデメリットや課題も存在します。
中小企業の対応負担: 手形取引に依存している企業にとって、システム対応や取引先との調整が大きな負担となる可能性があります。
電子決済への信頼性: 一部の企業や取引先が電子決済に不慣れであったり、信頼性を疑問視するケースもあり、新たなトラブルの発生も懸念されます。
7. 今後の展望
手形や小切手の廃止は、デジタル社会への移行を加速させる一方で、従来の取引慣行に依存していた企業にとっては大きな課題となります。特に中小企業は、電子決済への対応を早急に進める必要があります。また、政府や金融機関も、企業のスムーズな移行を支援するためのガイドラインやサポート体制を強化することが求められます。
全体として、2026年度末までに手形・小切手の廃止が実現すれば、日本の決済システムは大幅に効率化され、より安全かつ迅速な資金移動が可能となることが期待されています。
一方で、司法書士から見ると、不動産の担保設定で根抵当権が設定されている場合、登記簿謄本中の「債権の範囲」で「銀行取引 手形債権 小切手債権」となっているものも少なくありません。新規や変更で「銀行取引 手形債権 小切手債権 電子記録債権」としていますが、今までの設定はどうするのでしょうか?今後注目です。