相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
“誰も住まない家”の行き先──空き家問題から考える生前対策

相続で受け継ぐ財産の中でも、特にトラブルになりやすいのが「不動産」です。住む人がいなくなった実家を放置すると、空き家となり管理や税金の負担がのしかかります。本記事では、空き家問題の現実と、それを防ぐためにできる生前対策について司法書士が詳しく解説します。
目次
- 相続財産の中で不動産が特に厄介な理由
- 空き家が放置されると何が起きるか
- 固定資産税・管理責任という見えない負担
- 売りたい人と残したい人──相続人の意見対立
- 実際にあった「空き家相続トラブル」の事例
- 空き家問題を防ぐための生前対策
- 遺言書で意思を明確にするメリット
- 家族信託や生前贈与という選択肢
- 司法書士がサポートできるポイント
- まとめ──"誰も住まない家"を残さないために
1. 相続財産の中で不動産が特に厄介な理由

現金や預貯金は相続人で分けやすい財産です。しかし、不動産は分けることが困難です。例えば実家や土地は、一つの建物を複数人で分割することはできません。そのため、「誰が相続するか」「売却するのか」「共有にするのか」といった点で意見が割れやすいのです。
2. 空き家が放置されると何が起きるか

誰も住まなくなった家は、次第に劣化していきます。屋根や壁の損傷、庭木の繁茂、不審者の侵入リスクなど、周囲に悪影響を及ぼす可能性もあります。
また、2015年からは「空家等対策特別措置法」により、管理不十分な空き家は「特定空家」に指定され、固定資産税の優遇が外れることもあります。放置は大きな経済的損失につながります。
3. 固定資産税・管理責任という見えない負担
空き家であっても固定資産税はかかり続けます。加えて、定期的な清掃や修繕が必要となり、費用と労力が増えていきます。相続人が遠方に住んでいる場合、管理は現実的に不可能となり、業者へ委託するなど追加負担が避けられません。
4. 売りたい人と残したい人──相続人の意見対立

相続人の中には「家を残したい」と考える人と、「負担になるから売却したい」と考える人が混在することがよくあります。この意見の対立が深まると、相続人間の関係が悪化し、結局は不動産が放置される原因となります。
5. 実際にあった「空き家相続トラブル」の事例
あるご家庭では、両親の住んでいた実家を相続した兄弟が「長男は売却」「次男は思い出があるから残したい」と対立しました。話し合いは平行線のまま数年が経過し、家は劣化。最終的に固定資産税の負担と修繕費が重なり、相続人全員が困窮する結果になりました。
6. 空き家問題を防ぐための生前対策
こうした事態を避けるには、被相続人が生前に「不動産をどう扱うか」を明確にしておくことが不可欠です。意思を残さないままでは、家族に判断を委ねることになり、トラブルの火種となります。
7. 遺言書で意思を明確にするメリット

遺言書を通じて「自宅は長男に相続させる」「売却して代金を均等に分ける」といった意思を明文化すれば、家族が迷う余地は大幅に減ります。遺言は、家族が不必要な争いを避け、スムーズに手続きを進めるための最も有効な手段の一つです。
8. 家族信託や生前贈与という選択肢
- 家族信託:自宅を信託財産とし、将来の管理や処分をあらかじめ取り決めることが可能。本人の判断能力が低下してもスムーズに対応できる。
- 生前贈与:あらかじめ子どもに不動産を贈与しておけば、相続発生後の争いを回避できる。税務面の確認が必要だが有効な選択肢。
9. 司法書士がサポートできるポイント

司法書士は、不動産に関する登記や信託契約の作成、遺言書の有効性確保など、空き家問題に直結する手続きをサポートできます。法律的に有効であり、家族の希望を反映できる仕組みを整えるには、専門家の関与が欠かせません。
10. まとめ──"誰も住まない家"を残さないために
不動産は財産の中でも特に扱いが難しく、空き家は経済的にも精神的にも大きな負担となります。生前に明確な方針を立てることで、相続人のトラブルや放置リスクを未然に防げます。
「誰も住まない家」を残さないことこそ、家族にとっての最大の生前対策です。

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アイリス国際司法書士・行政書士事務所では、不動産の相続や空き家対策に強みを持っています。遺言・家族信託・生前贈与など、状況に合わせた最適な方法をご提案します。相続後に家族が困らないよう、今から一緒に準備を始めましょう。


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