【やさしい相続のはなし】「うちには関係ない?」──遺言書が役立つ身近な理由

2025年12月30日

「遺言書なんて、お金持ちの人だけが考えるものでしょ?」そんなふうに思っていませんか。実は、持ち家や預金が少しでもあれば、どんな家庭にも関係してくるのが相続の現実です。この記事では「うちには関係ない」と思われがちな遺言書が、なぜ身近な家庭にこそ必要なのかを、わかりやすく解説します。

目次

  1. 遺言書は「特別な人」だけのもの?
  2. 身近な相続トラブルの例
  3. 持ち家や預金が少しでもあれば関係する理由
  4. 「小さな財産」だからこそモメやすい
  5. 遺言書があるとどう変わる?
  6. 遺言書を残すことで得られる安心
  7. まとめ──「うちには関係ない」は思い込みかも

1. 遺言書は「特別な人」だけのもの?

 「遺言書」という言葉を聞くと、立派な会社を経営している人や、広い土地をたくさん持っている人だけが書くものだと思いがちです。
 ところが、現実にはそうではありません。

たとえば、
・自宅を持っている
・預金が数百万円ある
・田舎に実家や農地が残っている

 これだけで、相続の話は必ず発生します。つまり、「ごく普通のご家庭」にこそ、遺言書が役立つ場面が多いのです。

2. 身近な相続トラブルの例

 相続トラブルは、決して「お金持ち」だけの話ではありません。むしろ「財産は少ない」と思っていた家庭ほど、もめやすいケースがあります。

 例を挙げてみましょう。

  • ケース1:実家を誰が住むかで兄弟が対立
    長男が同居していたけれど、次男も「自分も権利がある」と主張。話し合いがまとまらず、相続登記もできないまま放置に。
  • ケース2:預金の分け方で不満が出る
    「自分が親の介護をしてきたのに、兄弟と同じ取り分なのは納得できない」と、感情の行き違いが起こる。
  • ケース3:農地や山を誰が引き継ぐかで悩む
    都会に出た子どもたちは「使わないからいらない」と言うが、名義を決めないと処分できない。

 こうした問題は、決して珍しいことではありません。

3. 持ち家や預金が少しでもあれば関係する理由

 相続というのは、「ある程度の財産がなければ発生しない」わけではありません。
 法律上は、少しでも財産があれば、必ず相続人に分ける権利が発生するのです。

つまり、
・自宅の土地建物
・預金や年金の残高
・農地や山林

 どんなに「大したものじゃない」と思っていても、法律的には相続の対象になります。

 そして、財産が1つしかない場合(例:自宅1軒)こそ、「誰が相続するのか」で家族が対立しやすいのです。

4. 「小さな財産」だからこそモメやすい

 意外かもしれませんが、トラブルは「財産が少ないご家庭」ほど起こりやすいものです。

なぜなら、
・分ける方法が限られている
・代償金(お金で調整する)の余裕がない
・不動産は売却もしづらい

といった事情があるからです。

 「お金が少ないから安心」とは言えないのが、相続の難しいところです。

5. 遺言書があるとどう変わる?

 遺言書がある場合とない場合では、家族の負担は大きく違います。

  • 遺言書がない場合
    相続人全員で話し合いをして合意しなければなりません。
    一人でも反対すれば手続きが進まず、財産が動かせないまま時間だけが過ぎます。
  • 遺言書がある場合
    基本的に遺言の内容が優先されます。
    誰が何を相続するかが決まっているため、スムーズに進みます。

 つまり遺言書は、**「家族の時間と関係を守るカギ」**になるのです。

6. 遺言書を残すことで得られる安心

 遺言書を作ると、家族にとっても自分にとっても安心感が生まれます。

  • 家族は「どうすればいいか」が分かってラクになる
  • あなた自身も「準備ができた」という安心を持てる
  • 感謝や気持ちを伝える機会になる

 特に「まだ自分は元気だし、関係ない」と思っているときこそ、冷静に準備ができるのです。

7. まとめ──「うちには関係ない」は思い込みかも

 「うちには関係ない」と思っていた遺言書。
 実は、持ち家や少しの預金があるだけで十分に関係があることがお分かりいただけたと思います。

 むしろ「財産は多くないから大丈夫」と油断しているご家庭ほど、相続で困ることがあります。

 遺言書は「お金持ちだけの特別なもの」ではなく、家族を安心させるためのやさしい準備なのです。

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