設立にあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
① 人的要件
- 社団医療法人では社員が3名以上必要。
- 理事3名以上、監事1名以上を選任。
- 理事長は原則医師または歯科医師。
- 監事は理事との兼任不可、かつ欠格事由のない者。
② 施設と資産の要件
- 診療所を開設していること(または設立後速やかに開設する計画があること)。
- 所在地の都道府県が定める一定の財産を保有していること。
③ その他の条件
- 法人名称の適切性(既存法人との重複・誇大表現の禁止)。
- 組織運営に関する定款の整備。
4. 医療法人設立の流れとスケジュール
医療法人の設立は年に1~2回、都道府県が設ける設立認可申請のスケジュールに従って進めます。一般的な流れは以下の通りです。
- 事前相談(都道府県の医務課など)
- 定款・必要書類の準備
- 設立社員総会の開催
- 都道府県知事へ認可申請
- 医療審議会による審査
- 設立認可の取得
- 法務局への設立登記
- 診療所の再開設届(保健所)と保険医療機関指定の手続き
申請から認可、登記、再開業までに要する期間は約6ヶ月程度とされています。スケジュールに余裕を持った計画が必要です。
5. 医療法人化の注意点
法人化にはメリットが多い一方で、以下のような注意点もあります。
① 設立・運営コストがかかる
定款作成、登記、行政への届出、会計処理など、手続きや維持費が個人開業に比べて複雑・高額になります。専門家の支援がほぼ必須です。
② 資金調達の自由度が下がる
株式会社のように株式発行ができず、出資金も制限されるため、自由な資金調達は難しいです。
③ 利益配分が制限される
非営利法人であるため、出資者に利益を分配することは原則禁止されています。
6. まとめ
医療法人の設立は、節税・承継・社会的信用など多くのメリットをもたらしますが、手続きや運営には高度な専門知識が必要です。設立タイミングを見極め、都道府県のスケジュールに合わせて準備することが求められます。
設立の検討段階から、税理士や司法書士、行政書士といった専門家に相談することで、リスクを抑えながらスムーズに法人化を進めることができます。