【第2回】「いつか」ではなく「逆算」から始める人生設計 〜“未来起点”で今を変える〜

2025年09月07日

「いつか独立したい」「いつか好きな場所で暮らしたい」「いつか自分のやりたいことを仕事にしたい」――そんなふうに、ぼんやりと夢や理想を抱いている人は多いかもしれません。でも、"いつか"という言葉は、気づかないうちに「現状維持」を正当化する罠になってしまいます。

本記事では、「いつか」を「いつまでに」と言い換え、そこから逆算して行動する"未来起点の人生設計"の考え方をご紹介します。人生の軸が定まらない、自分のビジョンを明確にしたい、行動が後回しになってしまう……そんな方にとって、目から鱗の時間思考術になるはずです。

【目次】

  1. なぜ「いつか」では動けないのか?
  2. 逆算思考とは何か?
  3. 逆算の出発点は"理想の未来"
  4. 逆算の具体的ステップ
  5. 今日から実践できる逆算人生設計
  6. おわりに:人生の主導権を自分に取り戻す

1. なぜ「いつか」では動けないのか?

 「いつかやりたい」と思っていても、実際にそれを実現できる人はごくわずかです。その理由は、「いつか」が行動の期限を持たない曖昧な言葉だからです。

 たとえば、「いつか英語を話せるようになりたい」と言っても、明日やる理由はどこにもありません。でも、「2年後、海外支社に異動するためにTOEICスコア800点を取る」となると、今日からの行動が明確になります。

 人間は、目の前の課題や欲求を優先してしまう生き物です。だからこそ、未来に締め切りをつくり、そこから逆算して今を変える思考が必要なのです。

2. 逆算思考とは何か?

 逆算思考とは、未来に目標や理想の状態を設定し、そこから現在の行動を設計する方法です。
 受験勉強、マラソンのトレーニング、企業の事業計画など、あらゆる目標達成の場面で使われている思考法です。

 たとえば、「5年後に独立したい」と決めたら、そのために必要なスキル、実績、資金、人的ネットワークを整理し、「では今月は何をする?」と落とし込んでいくのが逆算思考です。

 これにより、行動に"時間的な根拠"が生まれ、後回しのクセから脱出できます。

3. 逆算の出発点は"理想の未来"

 逆算のスタート地点は、あなたの理想の未来像です。

  • どんな働き方をしていたいか?
  • どんな暮らしをしていたいか?
  • どんな人と関わっていたいか?
  • 自分にとって「満足のいく人生」とは?

 最初から細かく考える必要はありません。最初は「こうだったらいいな」と思えるイメージで構いません。大切なのは、"その未来に期限をつける"こと。

 たとえば:

  • 「45歳までに地方に移住して、オンラインで仕事する」
  • 「3年後には副業を軌道に乗せて、会社に依存しない収入を得る」
  • 「来年までに年収を100万円アップさせる」

 このように、「理想+期限」=目標となり、逆算のベースになります。

4. 逆算の具体的ステップ

逆算で人生を設計するには、次のステップが有効です:

①【未来設定】
理想の未来と達成期限を決める(例:3年後に独立する)

②【分解思考】
達成に必要な要素を洗い出す(例:スキル・実績・資金・人的つながり)

③【中間ゴール】
1年後、半年後、3か月後の目標に分解する

④【今日の行動】
最も小さな一歩を設定し、今すぐ始める(例:毎日30分、副業の学習を始める)

このプロセスを繰り返すことで、「夢」は「タスク」になり、実現に向かって動き出します。

5. 今日から実践できる逆算人生設計

 では、実際に何から始めればよいのでしょうか?
おすすめは、以下の3ステップです:

  1. 理想の状態を10分だけ書き出す
    →「場所」「働き方」「収入」「人間関係」「1日の過ごし方」などを具体的に。
  2. その理想に期限をつける
    →「いつまでにそうなっていたいか?」をできるだけ具体的に。
  3. 今月できることを1つだけ決める
    →理想への第一歩として、小さな行動目標を設定。

 この3ステップを実践するだけで、思考のベクトルが「なんとなく将来」から「意図的な未来設計」に変わります。

6. おわりに:人生の主導権を自分に取り戻す

 「いつかこうなりたい」という願望は、放っておくと現実逃避の口実にもなります。けれど、逆算思考を持てば、それは夢ではなく、**"達成可能な目標"**へと変化します。

 人生は、受け身でいると他人や環境の都合で流されがちです。だからこそ、未来を設計することは、人生の主導権を自分に取り戻す行為でもあります。

 大きな目標でなくて構いません。小さな未来図からでも十分です。
 "今"を変えるために、"未来"からスタートしてみませんか?

次回予告:次の土曜日
第3回「"自己理解"が人生の質を決める」では、人生の方向性を見つけるうえで欠かせない"自分を知ること"について掘り下げます。自己分析が苦手な人でも実践できる方法をご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

最新のブログ記事

令和7年9月17日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

相続が発生したとき、相続人が直面する重要な選択肢の一つが「限定承認」です。限定承認は、被相続人の財産と債務を相殺し、プラスの財産の範囲内でのみ債務を引き継ぐ制度であり、特に債務超過の可能性がある相続においては非常に有効です。しかし実際には、家庭裁判所の統計を見ると、限定承認の申述件数は相続放棄と比べて圧倒的に少なく、2022年には1,000件未満とごくわずかでした。本記事では、なぜ限定承認がここまで利用されていないのか、その背景や制度的な課題について深掘りし、相続における選択肢として本当に有効活用できるのかを考察します。

「いつか独立したい」「いつか好きな場所で暮らしたい」「いつか自分のやりたいことを仕事にしたい」――そんなふうに、ぼんやりと夢や理想を抱いている人は多いかもしれません。でも、"いつか"という言葉は、気づかないうちに「現状維持」を正当化する罠になってしまいます。

「人生が動かない」「現状を変えたいけど何をすればいいか分からない」と感じている人は少なくありません。その背景には、"正解を探しすぎる思考"があることが多いのです。正解を探すこと自体は悪いことではありませんが、それが過剰になると、行動のハードルを自ら高くしてしまい、一歩を踏み出せなくなってしまいます。本記事では、「正解探し」を手放すことの意味と、その代わりに取り入れたい"人生を前に進める小さな実験思考"について解説します。人生を変えたい、現状を突破したいと感じている方に向けた第一歩として、ぜひ参考にしてください。

<