相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第3回】相続後に農地を売りたい!処分のための手続きと注意点を徹底解説

【はじめに:農地は相続しても"すぐに売れない"】
「親から農地を相続したけど、農業はやらないから売却したい」――そう思っても、農地は宅地のように簡単には売れません。
農地法という特別な法律の制限があるため、誰にでも売れるわけではなく、処分には行政の許可や手続きが必要です。
特に、相続した直後は気持ちも手続きも落ち着かない時期。
けれど、放置しておけば固定資産税が発生したり、耕作放棄地として問題視されたりするリスクもあります。
この記事では、農地を相続したあとに**「売却したい」と考えたときに取るべき行動**と、その際の注意点について、わかりやすく解説していきます。
目次
- 相続した農地を売るには何が必要か?
- 農地売却に必要な手続きと許可(農地法第3条)
- 農地を宅地等に"転用"してから売る方法(農地法第5条)
- 売却先が親族の場合も許可は必要?
- 農地売却における相場と買い手の探し方
- 売れない場合の代替手段(貸付・寄付など)
- まとめ:相続後は早めの判断がカギ
- 【CTA】農地の処分・売却でお困りなら今すぐご相談を
1. 相続した農地を売るには何が必要か?

一般の不動産のように、農地は「売りたいと思えば売れる」ものではありません。
なぜなら、農地は食料生産という公益性の高い資産と位置付けられているため、勝手な売買や転用が制限されているのです。
農地を売却するには、基本的に以下のような条件をクリアする必要があります:
- 相手が「農業従事者」であること
- 市町村や農業委員会の「農地法の許可」を受けること
- 地目が「農地」である限り、自由な転用・売却はできない
したがって、相続した農地を処分したい場合には、農地法の手続きが第一関門となります。
2. 農地売却に必要な手続きと許可(農地法第3条)

農地を農業従事者に売却するには、農地法第3条の「権利移動の許可」を得る必要があります。
この許可を得るには、主に以下の条件を満たす買主でなければなりません:
- 主に農業を生業としていること(常時従事)
- 取得後の農地の一体的な管理が可能であること
- 最低限の経営規模を維持していること(地域ごとに規定あり)
この許可を取得するには、申請書を作成し、農業委員会に審査を依頼する流れになります。
なお、農地の売買契約は、この許可を得てからでなければ法的に効力を持ちません。
3. 農地を宅地等に"転用"してから売る方法(農地法第5条)
「農業従事者に売れないのであれば、農地以外に転用して売る」――そんな方法もあります。
この場合に必要となるのが、農地法第5条の「転用を伴う権利移動の許可」です。
ただし、転用には以下のような厳しい制限があります:
- 市街化調整区域では、原則として転用不可
- 農業振興地域の農用地区域にある農地も、転用困難
- 許可までに時間と手間がかかる場合もある
よって、転用して売却するには、まずその土地が法的に転用可能かどうかの確認が最優先です。
4. 売却先が親族の場合も許可は必要?

「親族に売るから簡単でしょ?」と思われがちですが、農地の場合はそう単純ではありません。
たとえ親子や兄弟間の売却であっても、農業委員会の農地法の許可が必要です。
たとえば、親が農業をしていて、子に売却したい場合でも、子が農業を継ぐ意思と実態があるかが厳しく問われます。
つまり、「名義を変えるだけ」といった対応は、農地では通用しないのです。
5. 農地売却における相場と買い手の探し方
農地は通常の不動産と違い、需給が限られているため、相場価格も一般的には低めです。
売却を考える場合、まず自治体や農業委員会を通じた紹介や、**農地中間管理機構(農地バンク)**の利用を検討しましょう。
また、以下のような買い手を探すのが一般的です:
- 近隣の農業従事者(既存農家)
- 新規就農者
- 親族で農業を継ぐ意思のある人
不動産会社でも取り扱い可能なケースもありますが、農地に詳しい業者を選ばないと、許可手続きでつまずくことがありますので注意が必要です。
※農業委員会の農地法の許可書がないと、移転登記は却下されます。
6. 売れない場合の代替手段(貸付・寄付など)

「売れない、でも放っておくのも困る」という場合は、以下のような選択肢もあります:
- 農地バンクへの貸し出し(管理を委託できる)
- 寄付(自治体やNPOなどへ提供)
- 自主管理しながら保留(ただし税金と維持が必要)
特に農地バンクは、一定の賃料収入も見込め、周辺農家との連携も図れることから、有効な選択肢のひとつです。
7. まとめ:相続後は早めの判断がカギ
農地は「相続した後に悩みやすい不動産」の代表格です。
特に処分には法的制限と手続きのハードルがあるため、思いつきで売却を進めることはできません。
とはいえ、早めに行動を起こせば、貸す・売る・保留するといった複数の選択肢を検討する時間が確保できます。
農業を続ける意思がないなら、一日でも早く処分方針を立てることが重要です。
次回は、「農地を相続したが使い道がないときに検討すべき"貸す"という選択肢」について、詳しく掘り下げてまいります。

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司法書士・行政書士 橋本大輔
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