1. なぜ"できる"ことにこだわってしまうのか

　私たちは子どもの頃から、「テストでいい点を取る」「運動が得意」「すぐ覚えられる」といった"できる・できない"の評価軸で育ってきました。その影響で、大人になってからも「うまくいかないなら、やる意味がない」と思ってしまいがちです。

　ですが、その考え方こそが成長を妨げる最大の罠。できる・できないはあくまで「現時点の話」であり、今できないことがこの先もずっとできないとは限らないのです。

2. 成果は「才能」より「継続」で決まる

　世界で活躍している人たちの多くは、特別な才能に恵まれていたわけではありません。むしろ「努力を継続できた人」こそが結果を出しています。

　ある研究によれば、成功する人の共通点は「グリット（やり抜く力）」にあると言われています。つまり、コツコツと積み上げ続ける力が、才能や一時的な成果よりもはるかに大きなインパクトを持つということです。

　継続とは、「毎日劇的な変化を起こすこと」ではなく、「やめずに淡々と続けること」。これこそが人生を根底から変えていく力なのです。

3. 習慣化のメカニズムとは

　継続を支える仕組みとして欠かせないのが「習慣化」です。

　人は行動を繰り返すことで、無意識にそれを"日常の一部"として組み込めるようになります。
　最初は意識しないとできなかったことも、毎日続けているうちに、気づけば「やらない方が気持ち悪い」と思えるようになるのです。

ポイントは、ハードルを下げて始めること。1日30分の読書ではなく、まずは「1ページだけ読んでみる」から。筋トレも「腕立て1回だけ」から始めてみる。このくらいの"笑ってしまうくらい小さな行動"からでも、十分スタートになるのです。

4. 続けるために必要な4つの考え方

① 完璧主義を手放す

　「毎日できないと意味がない」と思ってしまうと、1日抜けた時点で挫折感を抱いてしまいます。多少抜けてもOK。7割くらい続けられていれば、それはもう立派な継続です。

② 結果を急がない

　努力が実を結ぶには時間がかかります。すぐに成果が出なくても、見えないところで確実に"力"は蓄積されています。

③ 他人と比べない

　他人の成果やスピードは気になるもの。でも、他人は他人、自分は自分。自分のペースで積み重ねていくことが一番の近道です。

④ "やった自分"を認める

　今日やれたことを記録し、少しでも「やれた」という実感を持ちましょう。セルフ承認は、継続のガソリンになります。

5. 「やめたくなる日」とのつき合い方

　どれだけ意思が強くても、「今日はもうやりたくない」と思う日はあります。そんなときのために、あらかじめ"最低ライン"を決めておくのが有効です。

　例えば、「1分だけでも机に向かえばOK」「ノートを開くだけでOK」など、**とにかく"ゼロにしない"**ことが大切です。ゼロを避けることで、習慣の"糸"が切れるのを防ぐことができます。

　また、少しやってみると「意外と続けられた」ということもよくあります。重たい腰を上げる工夫こそが、継続を支える力です。

6. おわりに：続けることが人生を変える理由

　"できる"ことを目指すのではなく、"続けられる"ことを選ぶ。
　その意識の変化だけで、人生の景色は大きく変わります。

　人は思ったよりも、劇的な変化を起こす必要はありません。少しの努力を、長く続けること。それこそが、結果を生み、自己信頼を育て、やがて自分の人生そのものを変える力になります。

　今日、どんなに小さくてもいい。一歩を踏み出してみましょう。
　"できる自分"よりも、"やり続ける自分"が、あなたを遠くへ連れていってくれます。

次回予告：
第5回「自分で自分を肯定できるか？〜他人軸から自分軸へ〜」では、他人の評価に振り回されず、自分の基準で人生を選ぶための考え方をお伝えします。自分の軸を持つことが、人生の迷いや不安を減らす鍵になります。