相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第4回】遺言書はいつ書くべき? ― 最適な作成タイミングと、見直しのきっかけとは ―

「遺言書は高齢になってから書くもの」――
そう考えていませんか?
実は、遺言書の作成には"早すぎる"ということはありません。むしろ、遺言書は元気で判断能力があるうちにこそ作っておくべきものです。また、一度書いたら終わりではなく、状況に応じて見直すことも大切です。
本記事では、遺言書を「いつ」書けばよいのかという疑問に対して、司法書士の視点から最適な作成時期と見直しのポイントをご紹介します。ライフステージや家族構成の変化に応じた判断材料として、ぜひ参考になさってください。
◆目次
- 遺言書の作成に「早すぎる」はない
- 遺言書を作るべき典型的なタイミング5選
- 見直しが必要となる主なケース
- 「まだ元気だから」は危険な思い込み
- 遺言書をタイムリーに見直すための工夫
- 次回予告:公正証書遺言と自筆証書遺言、結局どちらがいいの?
1. 遺言書の作成に「早すぎる」はない

多くの方が「まだ早い」と考えて遺言作成を後回しにしがちですが、実際には元気なうちにこそ備えるべきです。
なぜなら、認知症などで判断能力が低下した場合、遺言書の作成自体ができなくなるからです。
遺言書は本人の「意思能力」が必要不可欠であり、意思能力が曖昧と判断されると無効になることもあります。
そのため、60歳や70歳という年齢にこだわらず、財産や家族構成が整理できた時点で作成を検討するのがベストです。
2. 遺言書を作るべき典型的なタイミング5選

以下のようなライフイベントのときは、特に遺言書作成をおすすめします。
① 子どもがいない夫婦
→ 配偶者と兄弟姉妹が相続人になるため、配偶者にすべてを相続させたい場合は明確な遺言が必要です。
② 再婚・前妻(夫)との子がいる場合
→ 相続人間の関係性が複雑になるため、意図を明確に示す遺言が重要です。
③ 内縁の配偶者やお世話になった人に財産を残したいとき
→ 相続権がない人への配慮は遺贈として遺言書で行います。
④ 不動産が主な財産で分けにくいとき
→ 誰に不動産を渡すかを明確にしておかないと、共有相続になりトラブルの原因になります。
⑤ 家業や自社株を誰かに承継させたい場合
→ 事業承継にも遺言書は有効です。中小企業の経営者には特におすすめです。
3. 見直しが必要となる主なケース

一度遺言書を作った後も、次のような場合には内容の見直しが必要です。
- 結婚・離婚・子どもの誕生など、家族構成の変化
- 相続人の死亡
- 重大な財産変動(不動産の売却や購入、大きな贈与など)
- 相続税対策や事業承継の方向性の変更
- 心境の変化(特定の人に感謝を伝えたくなった 等)
状況が変わったまま放置すると、実態にそぐわない遺言内容になってしまうことも。
定期的な点検が重要です。
4. 「まだ元気だから」は危険な思い込み
遺言書は「まだ大丈夫」と思っているうちに書いておくべきです。
突然の病気や事故により意思表示ができなくなった後では、もはや遺言書を作ることはできません。
また、遺言がなければ、遺産分割協議が必要となり、家族に大きな負担やトラブルの種を残すことにもなりかねません。
5. 遺言書をタイムリーに見直すための工夫

◎ 定期的な点検のスケジュールを決める
→ 3年に一度や、年末の棚卸しのタイミングなどで見直す習慣をつけるとよいでしょう。
◎ 遺言書の控えを信頼できる専門家に預ける
→ 自分で保管していると存在自体を忘れてしまうこともあります。司法書士や弁護士、公証役場での保管も検討しましょう。
◎ 「もしもノート」「エンディングノート」と連動させる
→ 財産の状況や人間関係の変化を可視化しておくことで、遺言の修正時期を判断しやすくなります。
◆次回予告
第5回(最終回)は、「公正証書遺言と自筆証書遺言、結局どちらがいいの?」というテーマでお届けします。
それぞれのメリット・デメリットを司法書士が徹底比較。自分に合った遺言の形を一緒に考えましょう。

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司法書士・行政書士 橋本大輔
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ここまで4回の記事で、
**「不動産 × 認知症 × 義務化」**がどれほど危険かをお伝えしてきました。
しかし本当に大切なのは、あなたの家が今どの状態なのかです。
結論から言えば、ひとつでも危険サインがあれば、すでに対策が必要な段階です。
このチェックリストで、あなたの不動産が「守られているか」「爆弾になりかけているか」を確認してください。



