相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
【第5回】売れない・貸せない農地はどうする?“放棄できない”農地の出口戦略とは

【はじめに:誰も使わない農地、どうすればいい?】
農地を相続したものの、売れない、貸せない、耕作する予定もない――そんな"行き場のない農地"を抱えて困っている方が少なくありません。
「いっそ放棄してしまいたい」と思うかもしれませんが、**農地は"放棄できない資産"**です。草が生え、近隣に迷惑をかける状態になれば、管理責任を問われる可能性もあります。
では、こうした使い道のない農地には、どのような"出口"があるのでしょうか?
第5回では、売れない・貸せない農地の出口戦略について、現実的な対策をお伝えします。
相続後に"悩まされる資産"にしないために、ぜひ参考にしてください。
目次
- 放棄できない?農地の相続と管理責任の実情
- 地元自治体に相談!公的制度の活用例
- 無償譲渡という方法はある?
- 農地を宅地などへ転用することは可能か
- 「相続放棄」という選択肢の現実と注意点
- 遺言や生前対策で"使えない農地"を残さない工夫
- まとめ:農地を「持ち続けない」ことも大切
- 【CTA】農地の整理・処分に困ったら専門家へ
1. 放棄できない?農地の相続と管理責任の実情

農地は、相続したからといって勝手に放棄することはできません。
固定資産税がかかるうえ、管理を怠れば近隣トラブルや行政指導の対象にもなりかねません。
「放棄したい」「持っていたくない」と思っても、相続登記がなされていなくても、実質的に"所有者とみなされる"ケースもあります。
また、「農地だから価値がある」と思われがちですが、農業振興地域にある農地などは売却や転用が制限されており、実質的には負の資産になってしまうこともあります。
2. 地元自治体に相談!公的制度の活用例

一部の自治体では、耕作放棄地や遊休農地を解消する取り組みを進めており、農地の利活用を促進する制度を設けています。
たとえば:
- 空き農地バンク(農地バンクとは別)
- 農業振興地域の見直し申請支援
- 地域の新規就農者への農地紹介制度
地元農業委員会や市区町村の農政課などに相談することで、地域内での活用ニーズが見つかる可能性もあります。
3. 無償譲渡という方法はある?

売却できない農地でも、第三者に"無償で譲渡"することは理論上可能です。
ただし、以下の条件があります:
- 相手が農業従事者であり、農地法第3条の許可を得られること
- 農地として利用する意思があること
- 境界や面積、地目が明確であること
農業法人や近隣の農家が受け取ってくれるケースもありますが、引き受け側にとっても固定資産税や管理負担が生じるため、現実にはなかなか成立しづらいのが実情です。
4. 農地を宅地などへ転用することは可能か
農地を転用(宅地や駐車場などへの変更)するには、農地法第4条・第5条による許可または届出が必要です。
また、次のような点にも留意が必要です:
- 農業振興地域内農地は、原則として転用不可
- 市街化調整区域では、建物建築に厳しい制限あり
- 転用許可が下りても、造成や整備費用がかさむ場合あり
つまり、理屈上は転用できる農地も、現実には採算が合わないケースが大半です。
転用を視野に入れる場合は、土地家屋調査士や行政書士など専門家との連携が必須となります。
5. 「相続放棄」という選択肢の現実と注意点

どうしても農地を引き受けたくない場合、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをすることは可能です。
ただし、注意点として:
- 相続放棄はすべての財産を放棄する手続きであり、プラスの財産も放棄することになる
- 一定期間(原則3か月)以内に手続きをしないと、放棄できない
- 他の相続人に順次、農地の管理責任が移る
つまり、「農地だけを放棄する」ということは原則できず、全体の相続内容を精査して判断する必要があります。
6. 遺言や生前対策で"使えない農地"を残さない工夫
農地の処分に苦しむのは、多くの場合「前の代が農地の整理をしないまま亡くなった」ケースです。
そこで有効なのが、生前に以下のような対策をしておくことです:
- 農地を処分する意思を遺言で明示する
- 生前贈与や名義変更によって、早めに処分の責任を移しておく
- 利用価値の低い農地を自治体や農地バンクに打診しておく
- 「農地は放棄できない資産である」と子世代に伝えておく
使い道のない農地を「残さない」ということ自体が、次世代にとって最大の相続対策になるのです。
7. まとめ:農地を「持ち続けない」ことも大切
農地は"資産"ではあるものの、使い道が限られているため、時として"お荷物"になり得る存在です。
売れない、貸せない、使わない農地を"放置"することは、次の世代に大きな負担を残すことにもなります。
大切なのは、「活かす」だけでなく、「処分する」「持ち続けない」という選択肢も戦略的に検討することです。
早めに情報収集し、信頼できる専門家に相談しながら、納得のいく出口戦略を立てていきましょう。

【CTA:農地の整理・処分でお悩みの方へ】
「誰も使わない農地、手放したいけど方法がわからない」
「相続後に困らないよう、生前に整理しておきたい」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
アイリス国際司法書士・行政書士事務所
司法書士・行政書士 橋本大輔
▶ 電話:087-873-2653
▶ メール:irisjs2021@gmail.com
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