「施設に入ることになってね。でも、家や預金のことが気がかりで……」
 香川県高松市で司法書士として出会った70代女性のご相談。
 "老いの準備"ではなく"未来への安心"をつくる終活として、
 任意後見・財産管理契約・生前贈与をどのように活かせたのかをお伝えします。
	【第9回】遺言書はどの種類を選ぶべき?自筆・公正証書・秘密証書の特徴と書き方ポイント
			            
遺言書には自筆・公正証書・秘密証書の3種類があります。どれを選ぶべきかは目的や状況によって異なります。本記事では、司法書士がそれぞれの違いやメリット・デメリット、書き方の注意点をわかりやすく解説します。
📑目次
- 遺言書を作る目的とは?
- 遺言書の3つの種類と特徴
- 各方式のメリット・デメリット
- 遺言書の内容でよくあるトラブルとその対策
- 書き方の基本ルールと注意点
- こんな方には遺言作成をおすすめ
- 無料相談・作成支援のご案内
- まとめ:「家族の安心」は明確な遺言から
1. 遺言書を作る目的とは?

 遺言書は、亡くなったあとの「遺産の分け方」や「想い」を残すための法的文書です。
 トラブル防止のために「遺言はあった方がいい」とはよく言われますが、具体的には次のような目的があります:
- 相続人の間での争いを防ぐ
- 特定の人に財産を多く遺したい
- お世話になった人へ財産を渡したい(例:内縁の妻、介護者など)
- 子どもがいない夫婦の財産行き先を明確にしたい
- 相続人がいない場合の財産の寄付や活用先を決めたい
2. 遺言書の3つの種類と特徴

遺言書には、法律で認められている以下の3つの方式があります。
①自筆証書遺言
本人がすべて手書きで作成する遺言書
➁公正証書遺言
公証役場で公証人が作成する遺言書
③秘密証書遺言(実務上ほとんど取り扱いはありません)
内容を秘密にしたまま公証人に提出する遺言書
3. 各方式のメリット・デメリット
✅自筆証書遺言
メリット:
- 費用がかからない(用紙とペンだけ)
- いつでも自分で書ける
- 内容を完全に秘密にできる
デメリット:
- 書式ミス・不備で無効になるリスク
- 家庭裁判所の「検認手続き」が必要
- 紛失・改ざん・破棄のリスクあり
※現在は法務局での「自筆証書遺言の保管制度」も利用可能(別途手数料)
✅公正証書遺言
メリット:
- 公証人が作成するため法的に確実
- 家庭裁判所の検認不要
- 原本が公証役場に保管されるため紛失の心配なし
デメリット:
- 公証人との打合せが必要
- 証人2人が必要
- 費用(数万円〜)がかかる
✅秘密証書遺言
メリット:
- 内容を他人に知られずに済む
- 公証役場で「遺言があること」を証明できる
デメリット:
- 内容の有効性はチェックされないため無効リスクあり
- 家庭裁判所の検認が必要
- 現在は利用者が非常に少ない
4. 遺言書の内容でよくあるトラブルとその対策
❗よくある失敗例
- 「長男に全部相続させる」とだけ書いてしまい、他の相続人との争いに
- 特定の不動産を複数人に渡したいと書き、分割が不可能に
- 書いた日付がなく無効に(例:〇月吉日)
- 書き換えた形跡があると判断され、裁判沙汰に
✅司法書士からのアドバイス
- 財産の特定は正確に(例:高松市〇〇町1番地の土地)
- 相続人以外に財産を渡す場合は「遺贈」と明記
- 誰に何を渡すか不明確にしない
- 「付言事項」で家族への想いを残すのも効果的
5. 書き方の基本ルールと注意点

特に自筆証書遺言を作成する場合、以下の要件を必ず守る必要があります。
📝自筆証書遺言の要件
- 全文・日付・氏名を自筆で書くこと(代筆・PC印刷は無効)
- 押印すること(認印でも可だが実印推奨)
- 財産の記載は具体的に明確に
- 訂正箇所がある場合、訂正方法も記入(訂正印など)
💡ポイント
- 複数枚になるときは、すべてに署名と押印
- 書き損じたときのために下書きを用意してから清書
- 保管場所も決めておき、信頼できる人に知らせておく
6. こんな方には遺言作成をおすすめ
次のような方には、公正証書遺言の作成を強くおすすめします:
- 子どもがいない夫婦
- 相続人が多い、または疎遠
- 自分の死後に介護者や知人へ財産を渡したい
- 相続人の間で揉めることが予想される
- 相続人がいない(→遺言がないと国庫帰属)
また、高齢や病気のある方は、早めの作成が何より大切です。
7. 無料相談・作成支援のご案内
「どの方式で遺言を書くべきかわからない」
「内容の整理や文案を一緒に考えてほしい」
そんな方は、当事務所の無料相談をご利用ください。
公証役場との連携、証人の手配、相続税への配慮も含め、トータルで支援いたします。
📌【1】司法書士による無料個別相談(予約制)

- 対応時間:平日9:00〜17:00(※土日祝も事前予約で対応)
- ご予約方法:
 📞 087-873-2653
 🌐 Webフォーム → 公式サイトはこちら
📌【2】税理士と合同の無料相談会(毎月第3水曜開催)
- 内容:遺言・相続・贈与・税金対策をまとめて相談可能
- 詳細案内:こちらから
- ご予約電話:📞 087-813-8686

8. まとめ:「家族の安心」は明確な遺言から
遺言書は、「争族」を防ぎ、ご本人の想いを正しく伝えるためのツールです。
曖昧なままではかえってトラブルの種になります。
ご自身の状況に合った方式を選び、法的に有効で、想いが届く形の遺言を整えておきましょう。
📞 無料相談は087-873-2653まで/WEBフォームからも受付中
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アイリスあんしん終活相談所
相続で「もめる家族」と「もめない家族」。その違いはほんの小さな"きっかけ"にあります。
 香川県高松市で司法書士として支援したご家族の実話を通して、兄弟が円満に話し合えた「たった一つの理由」をご紹介します。
 終活や生前対策を考えるすべての方に読んでほしい、心温まるエピソードです。
生前対策のご相談で多いのが、「通帳を子どもに見せられない」「任せるのが不安」という声です。
 財産の問題と思われがちですが、実は"心の整理"の方が難しいことも。
 今回は、実際のご相談をもとに、家族の信頼関係を取り戻したお話を紹介します。
「遺言書までは大げさかもしれないけど、何か残しておいた方がいいですか?」
 そんなご相談をよくいただきます。
 今回は、正式な遺言書ではなかった"ある一枚のメモ"が、家族の心をつないだお話をもとに、司法書士として感じた「想いの残し方」の大切さをお伝えします。





