相続法律・税務無料相談会のご案内
令和7年8月20日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
バブル期の「持ち家信仰」により、多くの人が住宅を所有するようになりました。しかし、その多くは時代とともに資産価値が下落し、建物の老朽化や地域の過疎化、高齢化によって、子世代にとっては「相続しても使えない不動産」となるケースが急増しています。本記事では、戦後からの住宅政策の延長線上にある「相続放棄の増加」について、社会的背景と実態を整理します。
■目次
1.老朽化する住宅と資産価値の下落
バブル期に購入された住宅は、築30年〜40年を超えるものが多く、建物としての価値はゼロに近づいています。さらに地方や郊外の住宅では、地価そのものが下がり続けており、「売れない」「貸せない」「壊すにも費用がかかる」といった状況が現実となっています。これらの住宅は、もはや資産ではなく、維持管理にコストがかかる「負債」としての性質を帯びてきています。
2.高齢者単身世帯の増加と孤独死の問題
総務省の統計によれば、65歳以上の単身世帯は年々増加しており、高齢者の4人に1人が一人暮らしという現状があります。身寄りがない、あるいは家族との関係が希薄な高齢者が住む家は、本人が亡くなると管理が途絶え、無人化します。孤独死による「事故物件」化や、死後に発見されずに遺体が放置されるといった深刻なケースもあります。
3.相続されない不動産と空き家の拡大
親が住んでいた家を、子どもが必ずしも相続したいとは限りません。都市部に住む子世代にとって、遠方の実家は通うのも管理するのも手間と費用がかかり、相続後の用途も見いだせないのが実情です。結果として、「相続放棄」が選択され、登記簿上は所有者不明、実態としては管理放棄された空き家が各地に点在することになります。これが社会問題として顕在化しているのが現在の状況です。
4.相続放棄という選択の増加
家庭裁判所における相続放棄の申述件数は、この10年で明らかに増加傾向にあります。借金の相続回避だけでなく、「維持費のかかる空き家を相続したくない」「売れない山林や農地は不要」といった消極的理由による放棄が増えています。とくに地方では、兄弟姉妹で話し合ったうえで全員が放棄する事例もあり、不動産が文字通り「誰のものでもない」状態になることも珍しくありません。
5.社会に広がる「負動産」の課題
こうした背景により、「資産=価値があるもの」という前提が崩れつつあります。売れない・使えない・処分できない不動産は「負動産」とも呼ばれ、個人だけでなく社会全体に課題をもたらしています。行政による空き家調査や解体助成制度が進められていますが、登記情報の不備や所有者不明土地問題も絡み、対応は遅れがちです。相続制度そのものの見直しも、今後避けて通れないテーマとなるでしょう。
■まとめ
高齢化と住宅の老朽化は、資産の価値を大きく損ね、結果として「相続されない不動産」が社会に増加しています。バブル期に憧れとともに取得されたマイホームも、次世代にとっては「厄介な遺産」となるケースが少なくありません。第4回では、そうした相続放棄の背景にある構造的問題を見てきましたが、次回はこれらの問題に対応すべく動き始めた新しい制度や、相続対策の実例について取り上げます。
令和7年8月20日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
増加する空き家や所有者不明土地の問題に対し、日本政府は様々な制度整備を進めています。戦後の財産分散から始まった資産の細分化と価値の低下は、現代において大きな社会課題へと発展しています。本記事では、「空き家対策特別措置法」や「所有者不明土地法」などの制度を通して、次世代への円滑な資産承継のあり方を探ります。
バブル期の「持ち家信仰」により、多くの人が住宅を所有するようになりました。しかし、その多くは時代とともに資産価値が下落し、建物の老朽化や地域の過疎化、高齢化によって、子世代にとっては「相続しても使えない不動産」となるケースが急増しています。本記事では、戦後からの住宅政策の延長線上にある「相続放棄の増加」について、社会的背景と実態を整理します。
相続と贈与、制度の違いや税制面のメリット・デメリットを理解しても、「実際、自分のケースではどちらが良いのか?」という疑問を持たれる方は多いでしょう。
相続税の節税や、家族間のトラブル防止、事業承継、孫への資産移転など、目的によって最適な方法は異なります。