第2回:【香川県・高松市の生前対策】「亡き父の“メモ”が、家族を救った日」 ─ 遺言書よりも大切な“想いの残し方”の話

2025年10月13日

「遺言書までは大げさかもしれないけど、何か残しておいた方がいいですか?」
そんなご相談をよくいただきます。
今回は、正式な遺言書ではなかった"ある一枚のメモ"が、家族の心をつないだお話をもとに、司法書士として感じた「想いの残し方」の大切さをお伝えします。

目次

  1. 一枚のメモから始まった相続相談
  2. 法的には「遺言」ではないけれど
  3. 家族の心を動かした"たった数行の言葉"
  4. 司法書士が橋渡しした「想い」の整理
  5. 遺言書の目的は"法的効力"だけではない
  6. まとめ:想いを残すことが、家族を救う

1. 一枚のメモから始まった相続相談

 高松市内にお住まいの三人姉妹から、「父が亡くなった」とのご相談をいただきました。
 葬儀も終わり、少し落ち着いた頃。
 相続の話を始めようとしたとき、長女の方が小さな封筒を取り出されました。

 「これ、父の机の引き出しに入っていたんです」

 中には、折り畳まれたA4の紙。
 震える字で、こう書かれていました。

 『家は長女に。預金は三人で仲良く分けてほしい。
 いつも助けてもらって感謝している。ありがとう。』

 署名や日付はありましたが、押印はなく、いわゆる**「自筆証書遺言」**としての形式は整っていませんでした。

2. 法的には「遺言」ではないけれど

 私はまず、「これは法律上の遺言書ではない可能性が高いです」と正直にお伝えしました。
 ただし──その一言に続けて、こう言いました。

 「でも、"遺志"としての力は十分にあります。」

 形式が不備でも、家族がそれをどう受け取るかが一番大切です。
 このメモは、少なくともお父さまが「家族を思って書いたもの」。
 法的効力がなくても、"心の整理"を助けることはできるのです。

 三姉妹の皆さんも、黙って頷かれました。
 「父らしい書き方ですよね。几帳面じゃないけど、優しい人でした。」

3. 家族の心を動かした"たった数行の言葉"

 話を進めていくと、家族の中で少し意見が分かれました。
 「法的に有効じゃないなら、平等に分けた方がいいのでは?」
 「でも、父の言葉を無視するのは違う気がする…」

 議論が続いた後、三女の方がふとこう言われました。
 「"ありがとう"って書いてある。それだけで十分じゃない?」

 その瞬間、空気が変わりました。
 泣きながら、三姉妹は封筒を見つめていました。
 言葉よりも、想いが残っていたのです。

4. 司法書士が橋渡しした「想い」の整理

 私の役目は、感情を整理しながら、法的に安全な形に落とし込むことです。
 最終的には、メモの内容を尊重しつつ、
「家は長女名義」「預金は三人で均等に」
という内容の遺産分割協議書を作成しました。

 その過程で、私はあえて時間をかけました。
 「法的に正しい」ことを急ぐよりも、
**"全員が納得して署名できること"**の方が重要だからです。

 完成した協議書に三人が署名したとき、
「父の言葉を守れた気がします」と言われたのが印象的でした。

5. 遺言書の目的は"法的効力"だけではない

 司法書士として感じるのは、
「遺言書=法的文書」ではなく、
"人生のメッセージ"を残す手段だということです。

 確かに、形式を整えることは大切です。
 しかし、形式だけ整えても、心が伝わらない遺言書は少なくありません。
 逆に、このお父さまのように、不完全でも"想いの温度"が伝わるメモが、家族を救うこともあるのです。

 そこで私がよくお伝えしているのは、

 「遺言書の効力についてはサポートしますので、まずは"自分の想いを書くこと"が大切です。」

 そして、できればその想いを司法書士や家族と共有し、
**「想いを形にするサポート」**を受けておくと、より安心です。

6. まとめ:想いを残すことが、家族を救う

 この出来事から、私は改めて感じました。
 人は、財産を残すためだけに遺言を書くのではありません。
 「家族がもめないように」「ありがとうを伝えたい」──
その小さな気持ちが、どれだけ大きな力を持つかを。

 お父さまのメモは、法的には"遺言書未満"でした。
 けれども、**家族をひとつにした"想いの証"**だったのです。

 これから生前対策を考える方へ。
 どうか「何を書くか」より、「何を伝えたいか」を大切にしてください。
 司法書士として、あなたの"想いを形にするお手伝い"をいたします。

 しかし、こんな風にうまくいくかどうかなんてわかりません。ちゃんとした遺言書をかければ一番ですので、元気なうちに専門家に相談しましょう。

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