〖徹底解説〗まんのう町の生前対策/相続登記対応 — 法務的リスクと実務対策(司法書士解説)

2025年12月15日

相続登記義務化(2024年4月施行)に対応するため、まんのう町特有の課題(山林・農地・遠隔相続)を司法書士の視点で詳述します。登記の法的整理、戸籍収集の難所、農地法や固定資産評価の実務的注意点をケーススタディで示し、専門家が取るべき手順を網羅します。

目次

  1. 新ルールの整理(登記義務化の法理と運用)
  2. まんのう町の地場事情が与える影響(農地・山林・空き家)
  3. 戸籍収集の実務と代行ノウハウ
  4. 農地・山林の登記と農地法の接点
  5. ケーススタディ(3件)とチェックリスト
  6. 推奨ワークフロー(司法書士向け)
  7. FAQ(専門的なQ&A)
  8. 無料相談会のご案内

1.新ルールの整理(登記義務化の法理と運用)

相続登記の義務化の根拠

2024年4月施行の民法・不動産登記法改正により、

  • 相続(又は遺贈)による所有権取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が義務化
  • 正当な理由なく申請を怠ると 10万円以下の過料

が規定されました。

●"故意・過失"の扱いと立証

過料は刑罰ではなく行政上の秩序罰であるため、

  • 申請怠慢の責任は「本人が登記義務を認識していたか」が判断基準
  • 過料の運用は「法務局による個別判断」
  • 実務では「遺産分割未了」「相続人調査未完」等も"正当理由"が認められる余地がある

という運用が見られます。

よくある実務問合せ

  • Q:相続人同士で揉めている場合は?
     → 申請期限内に「相続人申告登記」を行えば、過料を回避できる。
  • Q:相続人の一部が行方不明の場合は?
     → 不在者財産管理人・特別代理人等の申立てを検討する。

司法書士としては、早期に調査範囲を確定し、相続人の所在確認と意思確認を体系的に進めることが重要になります。

2.まんのう町の地場事情が与える影響(農地・山林・空き家)

まんのう町は、香川県内でも 農地・山林割合が高く、筆数が多い 地域です。これにより相続登記義務化の対応が他市町より複雑化する傾向があります。

想定される典型的リスク

  • 山林筆数が20〜100筆に及び境界不明
  • 昭和初期の地番整理の影響で、地籍図と現況が大きく乖離
  • 過疎化により 所有者不明土地が生じやすい
  • 地元以外の相続人が多く、長距離戸籍収集が必須
  • 紙の固定資産台帳が残っている地域があり評価証明取得に時間

自治体・法務局との連携

実務では以下が効果的です:

  • 地籍調査担当課への筆界情報の照会(非公式ヒアリング含む)
  • 農業委員会への"農地の現況"確認
  • 法務局の地図・公図・筆界特定制度の活用
  • 山林集積バンク等の制度確認(売却・委託への選択肢提示)

特に山林は「使わない土地」=「放置されやすい土地」であり、司法書士による早期の整理提案が、後続世代の法的リスクを大幅に下げます。

3.戸籍収集の実務と代行ノウハウ

まんのう町の案件では"地元を離れた相続人"が多く、戸籍収集が難所となります。

戸籍収集のポイント

  • 出生から死亡までの連続戸籍の完全取得が必須
  • 旧字体・改製原戸籍の読み取りには 戸籍誤読リスク がある
  • 戸籍に抜け漏れがあると、相続人が1名増えるだけで手続きが全てやり直し

戸籍収集の効率化

  • 受任時に「相続人候補の一覧メモ」をヒアリング
  • 過去の住民票除票が残っていない自治体では「職権消除情報」を照会
  • 遠隔地の役所には 郵送請求用の定型文を準備
  • 本籍が頻繁に変わっているケースでは「戸籍の附票」が重要

相続関係説明図の作り方

  • 推定相続人全員を確定
  • 代襲相続の有無をチェック
  • 再婚・婚姻歴・認知等の特記事項を明記
  • 他士業(税理士・社労士)と連携する情報は別枠で記録

4.農地・山林の登記と農地法の接点

農地の相続は農地法の許可不要

農地法3条の許可は「権利移転の契約」を対象とするため、
相続のみの場合は許可不要 です。※農地法3条の届出は必要です。

ただし以下は注意:

  • 登記完了後の 農地の用途変更 には制限
  • 農地を売却する場合は農業委員会の審査が必須
  • 不耕作農地は 固定資産税が上がる可能性 があるため説明要

山林特有の注意点

  • 筆数が多い場合は「一覧表」を作成
  • 面積が大きい場合、境界立会いの対象外 になることがある
  • 売却前提なら「森林経営計画」を確認

司法書士が生前対策の段階で整理しておくことで、将来の紛争リスクを格段に下げられます。

5.ケーススタディ(3件)とチェックリスト

■Case1:山林30筆の名義変更

  • 固定資産評価の確認
  • 地番整理(公図・地積測量図・森林簿)
  • 相続関係説明図作成
  • 登記データの分割統合を検討
  • 見積りの注意点:筆数が多いほど 調査時間・法務局での補正が増加

■Case2:被相続人が長期行方不明

  • 戸籍が途中で途切れている
  • 住民票除票が廃棄済
  • 「法定相続情報一覧図」で中間証明書類を整理
  • 行方不明期間が長い場合は、後日「失踪宣告」も検討

■Case3:共有名義での分割交渉

  • 共有者が高齢で意思能力に疑義
  • 売却困難地(農地・山林)
  • 受任時に「家族信託」を提案し、管理権を一本化
  • 最終的に「信託→登記→売却」の順で整理

実務チェックリスト

  • 推定相続人の確定
  • 筆数・地目の分類
  • 評価証明の取得
  • 農地法・林地台帳の確認
  • 将来的な分割方法(売却・名義維持)の方針提案
  • 期限管理(3年以内申請)

6.推奨ワークフロー(司法書士向け)

  1. 受任前ヒアリング(10分)
     ・相続人の概数
     ・筆数・地目の有無(農地/山林)
     ・相続人の居住地
  2. 相続人調査(戸籍収集)
  3. 財産調査(評価証明・公図・地積測量図)
  4. リスク分析(共有・不明筆・境界曖昧)
  5. 生前対策の提案(必要に応じて信託・贈与)
  6. 遺産分割協議案の作成
  7. 登記申請書の作成・添付書類整理
  8. 補正対応・完了後の説明

7. FAQ(専門的なQ&A)

Q1. 相続税と登記費用の計画は連動させるべき?
A. 登記は行政手続、相続税は税務処理と制度が異なる。
ただし登録免許税(0.4%)・評価額を元に費用計算するため、税理士との同時進行が理想

Q2. 農地の売却が前提の場合、登記の順序は?
A. 相続登記 → 農地法3条許可(売買) → 所有権移転登記。
許可前の売買契約は無効となるため注意。

Q3. 山林の境界が不明なまま登記できる?
A. 登記自体は可能。ただし将来の紛争リスク(隣接地の越境)が残り、筆界特定制度の活用を推奨。

Q4. 相続人が海外在住の場合の実務対応は?
A. 在外公館での署名証明・在留証明を取得し、日本語訳(翻訳文)を添付する必要あり。

Q5. 相続人が認知症の場合の対応は?
A. 判断能力に疑義がある場合、家庭裁判所に「成年後見」申立てを提案。


8. 無料相談会のご案内

生前対策・相続対策に関する無料相談は随時受付中です(完全予約制)。

📞 電話予約:087-873-2653

🌐 お問い合わせフォームはこちら

📆 土日祝も可能な限り対応いたします。

また、相続税対策・登記相談も含めた無料相談会も開催中です:

第3水曜開催:087-813-8686(要予約)

詳細はこちら:相談会ページへ

香川県外の方もオンライン(Zoom)で相談可能です。
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アイリスあんしん終活相談所

相続登記義務化(2024年4月施行)に対応するため、まんのう町特有の課題(山林・農地・遠隔相続)を司法書士の視点で詳述します。登記の法的整理、戸籍収集の難所、農地法や固定資産評価の実務的注意点をケーススタディで示し、専門家が取るべき手順を網羅します。

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