不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号)により、現在の所有権の登記名義人の氏名に旧氏を併記することができるようになりました。結婚等により、姓が変わった方が所有者の場合、旧姓の氏名もカッコで表記できるようになりました。
(表記)
権利部(甲区)
順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
1 所有権移転 年月日第〇号 香川県高松市番町一丁目1番1号
香川 髙子
(讃岐 髙子)
ただし、旧姓表記ができる所有者である登記名義人の要件があります。それは、
「旧氏は現在の所有権の登記名義人の氏名にのみ併記することができ、これ以外の者は、旧氏併記の対象とはなりません。
また、日本の国籍を有しない者については、旧氏を併記することはできません。」
申出をすることができる場合として
「次の(1)及び(2)の登記を申請する場合に、それぞれに定める者が当該登記の申請人である場合には、登記官に対し、その一の旧氏を申請情報の内容として、当該旧氏を登記記録に記録するよう申し出ることができます(※)。(規則第158条の34第1項)
※併記したい旧氏が登記される氏と同一である申出をすることはできません。
また、次の(1)及び(2)に定められた方以外の方が申し出ることはできません。
(1) 所有権の保存若しくは移転の登記、合体による登記等(不動産登記法(平成16年法律第123号)第49条第1項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。) 所有権の登記名義人となる者
(2) 所有権の登記名義人の氏についての変更の登記又は更正の登記 所有権の登記名義人
※名前や住所のみの変更の登記の申請と併せて申出をすることはできません。」
(法務省HP引用)
つまり、所有権を取得した者が、所有権保存・所有権移転登記等を行うときや、氏名の変更が生じたときのみにしかできません。例えば、すでに今の姓で登記がなされている場合に、住所変更のみ生じ、住所変更の登記を申請する場合は、同時に旧姓の登記をすることはダメということを言っています。
(登記申請例)
登記の目的 所有権移転
原 因 令和○年○月○日売買
権 利 者 ○○市○○町一丁目5番6号
法 務 太 郎( 登 記 太 郎 )
義 務 者 ○○郡○○町○○34番地
甲 野 花 子
添付情報 登記識別情報(登記済証) 登記原因証明情報
代理権限証明情報 印鑑証明書 住所証明情報
旧氏を証する情報
登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由 □不通知 □失効 □失念 □管理支障 □取引円滑障害 □その他( ) □登記識別情報の通知を希望しません。 令和○年○月○日申請 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)
(以下省略)
2.会社法人等番号