1.従来の被相続人の登記簿情報の取得方法
ご依頼者から不動産の名義人である方の戸籍の取得をします。遡ってから、各相続人を調査するのですが、民法には、戦前の旧民法と戦後の新民法で、相続の取り扱いが大きく異なります。旧民法では「家督制度」が取り入れられていますので、財産は家督を継いだ方が持つことになりますので追跡しやすいのですが、戦後の新民法になった後は、現在の相続と同じく相続人全員が権利者となりますので、子供全員が相続人となります。これが、所有者不明の不動産に、権利者が何十人と発生してしまうメカニズムです。
しかし、戸籍をたどれば相続人全員が見つかるのかというとそうでもないのです。戦前戦後という話をしましたが、アメリカの空爆を受けてしまい、戸籍が消失してしまっているケースがあります。こうなった場合、戸籍の追跡そのものができなくなります。勿論、役場では、消失の証明書を発行していただけますが、不動産の名義人自身の戸籍がない場合、「名寄帳」は取得できない可能性があり、物件漏れが発生する可能性が出てきてしまいます。
また、戸籍はそのままで、戦時中、着の身着のまま疎開して、点々と移転していた場合も、なかなか追跡するのは困難かと思われます。
令和6年4月1日よりスタートする「相続登記義務化」で、物件を漏らしたのでは意味がありませんからね。
これを何とかクリアできないかと探し当てたのが、「登記簿図書館」のサービスです。
2.登記簿図書館の「名寄せ機能」
登記簿図書館のサービスは、法務局や民亊法務協会から登記簿を取得するのが安くなるというのがウリですが、本当の魅力はそこではありません。今回の事例のように、戸籍を追跡できない場合、登記簿図書館の「名寄せ機能」で、権利部甲区の権利者名から全国規模で名寄せができる点です。役場で取得できる「名寄帳」は、自治体単位での物件しか表示されていませんので、この名寄せ機能は、本当に重宝しそうです。
あとは、CSV(エクセル)に、一覧で出力できるサービスもいいですね。
結局、登記簿を取得できても物件が多い場合、私の場合、一覧表を作成して、そこから各申請書類へ情報を記録していますので、元情報から出力されるエクセル形式の一覧表は、使い勝手がいいです。お客様に提示する際も、束になった登記簿を一つ一つ確認していくより、まとめたデータがあった方がいいですからね。