以前、兄弟の配偶者で「法律に詳しい方」にお願いして協議を進めようと思います、という話を聞いたことがあります。これ、全くの間違いです。まずは、「法律に詳しい方」は専門家ではありません。しかも、相続人の配偶者は第三者ではなく「利害関係人」です。その相続人の取り分が大きくなれば間接的に、その方の懐も潤う関係になるからです。もめる原因になりますので、必ず相続人だけで話し合いをするようにしましょう。
以上のようなコツを意識しながら、相続人全員が満足できる遺産分割協議を目指すことが重要です。
3.遺産分割協議でもめた場合
遺産分割協議でもめた場合は、以下のような手続きが考えられます。
①仲裁や調停の申立て
まず、専門家に相談して、仲裁や調停の申立てを行うことができます。調停は、調停員と呼ばれる専門家の仲介のもとで、双方が話し合いをし、解決することを目的とした手続きです。調停が成立すれば、遺産分割協議書を作成し、解決を図ることができます。
➁裁判の提起
調停の手続きでは遺産分割協議書を作成することができない場合、法的な手続きで解決を図る必要があります。この場合、裁判を提起することになります。裁判所には、相続に関する法律に基づき、遺産分割を決定する権限があります。裁判所での審判は、公正かつ公平な判断を下すことが期待されます。
③相続放棄
遺産分割協議がまったく成立しない場合、相続放棄という手続きをとることができます。相続放棄とは、相続人が自らの相続権を放棄することです。相続放棄を行えば、その相続人に関しては遺産分割の問題がなくなります。(相続人ではなくなってしまうため)相続放棄には相続が発生したのち3か月以内という期間制限があります。また、相続放棄をした場合、相続人ではなくなるため、当該相続での相続分を受け取ることはできません。
遺産分割協議でめぐりめぐって紛争が起きた場合には、弁護士に相談したり、調停や裁判などの手続きを行うことで解決を図ることができます。
4.裁判所の調停、審判による遺産分割協議について