2.登記懈怠と選任懈怠
役員選任を過去の定時株主総会や取締役会などで選任決議はしていたものの登記を怠っていたのが「登記懈怠」で、役員の選任そのものを怠っていた場合が「選任懈怠」になります。どちらも、登記自体が懈怠となるのですが、影響する範囲が異なってきますので注意が必要です。
3.許認可が関係する場合
登記懈怠の場合には、登記簿の役員の記録には、連続して記録されることになりますので、役員の期間に空きが生じません。実際に役員重任の決議がなされているかこの内容を記録するためです。
それでは、「選任懈怠」の場合の登記簿の情報はどのように記録されるのでしょうか?
例えば、平成30年に役員の重任決議を定時株主総会ですべきところを忘れていたなどです。この場合、平成30年の定時株主総会がなされる期日でいったん退任となり、その後「権利義務役員(退任はした者の選任決議がないので、従前の責任を引き継ぐ形の役員」として業務をすることになるのですが、令和5年に改めて選任決議をした場合、登記簿には平成30年に退任、そして令和5年に「就任」という記録がなされます。つまり、登記簿上では、退任から就任までの期間が空いてしまいます。
こうなった場合、特に建設業許可では、登記簿上でその空白の期間の証明をしなければならなくなってしまいます。実際に期間の証明ができる書類は役員報酬が出ている人であれば、決算書に役員報酬が明記されているので決算書原本、代表取締役であれば、決算書に代表取締役として名前の記入と代表印が押印されているのでこちらも決算書で認めてもらうことができます。ただし、振興局によって判断が違うため一概にこの書類で大丈夫とは言えないという点が頭を悩ませるところです。このように、役員の任期の期間に空白ができないように日ごろから整備をしておくことが、いかに重要かということがわかると思います。