それでは、記事に書かれていた内容を見ていきましょう。(健美家記事引用)
「(略)令和4年末に住宅ローンを完済しました。
そして、住宅ローンを完済したタイミングで自宅を妻に贈与しようと考えました。
自宅を贈与する目的は、私の不動産投資に何かあっても妻と家族に自宅を残すためです。不動産投資が上手くいかなくなった時に、自宅が任売や競売になるのは、妻や家族には大変申し訳ない事になります。
私は、毎月税理士事務所に打ち合わせに行っていますが、以前、税理士さんが、「結婚して20年過ぎると、配偶者に自宅を贈与しても税金がかからない」と言っていたのを覚えていたことも、後押しになりました。」(引用終わり)
おそらく、この方の物件も要件を充たしていたため贈与税はかからなかったのでしょう。
しかし、不安なようで司法書士にも相談してみたいですね。
3.司法書士の答え(健美家記事引用)
「(略)とりあえず司法書士さんに相談することにしました。
25年以上前に自宅の登記でお世話になり、現在は収益物件の登記でお世話になっている司法書士さんです。司法書士さんから最初に出てきた言葉は、「本当にやるんですか?」と、いうものでした。
司法書士さんは、明らかにこの贈与の話を思い留まらせようとしていました。詳しく説明を聞くと、無税なのは贈与税だけで、不動産取得税と登録免許税は、普通にかかるという事です。
さらに司法書士費用も必要で、妻への自宅の贈与にかかる費用は、総額で40万円くらいという話でした。不動産取得税、登録免許税、司法書士費用という言葉は、収益物件の購入ではよく聞く言葉ですが、自宅となると全く頭から抜けていました。
司法書士さんは、再確認するように、「本当に贈与税の免除のためだけに40万円もかけるんですか?普通はやりませんよ」と、真顔で聞いてきました。」(引用終わり)
総額40万円というのは、物件価格(固定資産税評価額)によって変わってきます。
まずは、所有権の名義を変更するために必要な「登録免許税」があります。贈与ですと1000分の20ですが、相続で行う場合、1000分の4となります。贈与の時の5分の1ですよね。
また、これだけではありません。相続の場合、配偶者控除として1億6千万円の枠があります。
生前に贈与する場合、自身の相続後の二次相続対策のケースが圧倒的に多いです。なぜなら、もらった配偶者に相続が発生した(二次相続)では、相続の配偶者控除1億6千万円が使えなくなってしまうためです。同じ相続で不動産の名義変更を予め子供にしておくことで、配偶者の相続発生時に相続税がさらに発生してしまうことを嫌う方が多いためです。
※相続税のご相談は税理士に確認してください。