※保安林とは、水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等、特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。保安林では、それぞれの目的に沿った森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等が規制されます。(林野庁HPより抜粋)
2.各地目による登録免許税の算出
さて、いよいよ登録免許税計算の話になるのですが、以下の4種類の方法があります。
①近傍宅地の㎡単価をそのまま使う
➁近傍地の㎡単価をそのまま使う
③近傍宅地の㎡単価に30/100を掛けた金額を使う
④近傍地の㎡単価に30/100を掛けた金額を使う
法務局に提出する「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」には、「公衆用道路等の場合は、合計価額に30/100を乗じてください。」との文言があります。ですので、近傍宅地で出た価格に地積を乗じ、その合計額に100分の30を乗じることになります。
そして、この「100分の30を乗じる」取り扱いの根拠は、
「不動産登記の登録免許税課税標準価額の認定基準について(法務局依命通達)
固定資産評価格のないものについては、近傍類似の土地の固定資産評価格を参考として定める額。ただし、公衆用道路については、近傍宅地の価の100分の30に相当する価格を認定基準とする。」ということです。
ここで「??」となった方もいるかもしれません。なぜなら、法務局に提出する「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」には、「公衆用道路等の場合は、合計価額に30/100を乗じてください。」とあり、通達では「ただし、公衆用道路については、近傍宅地の価の100分の30に相当する価格を認定基準とする。」とあり、通達では、近傍宅地で100分の30を乗じるのは、公衆用道路のみと読めます。この点については、調査続行です。実際の取り扱いは、私がかかわった法務局では、公衆用道路も用悪水路も同じく取り扱われています。
さて、保安林の近傍地(山林)の価格を用いた場合には➁の価格をそのまま使うことになります。宅地に比べて山林の方が評価価格が安くなるためだと考えます。しかし、上記同様、近傍宅地の価格をもちいて、算出額に100分の30を乗じる取り扱いの場合もあります。
まずは、ご自身で登記申請される際には、法務局の窓口に相談してください。
そして、算出された課税標準の価額の千円未満の数字を切り捨てます。その数値に、相続の場合、1000分の4を乗じ、100円未満の数字を切り捨てた値が登録免許税となります。
(例)算出された課税標準の価額:4,567,890円
→4,567,000円 これに1000分の4を乗じる。
計算結果は18,268円となるので、登録免許税は18,200円となります。
3.まとめ
「評価額のない土地の課税価格」をどのように計算の根拠とするのかについて法令では定まっていません。各法務局がその決定権限を有しています(登録免許税法附則第7条→登録免許税法施行令附則3項、4項)。「登録免許税課税標準価額認定基準」を設けている法務局もあるようです。しかし、当事務所管轄の高松法務局では、高松市については「評価のない土地の課税標準価額の認定請求書」の提出により、対応していただけます。高松市以外では、各役場が近傍宅地等の価格を証明しているという取り扱いになっています。
各役場で証明事項があっても、登記を申請した後、法務局側でダメとなると、登録免許税の決定権限は法務局にありますので、無駄足になる可能性があります。ですので、まずは、最寄りの管轄法務局に問い合わせるのが得策かと考えます。
また、租税特別措置法第84条の2の3第2項による、相続登記で評価100万円以下の土地については非課税となるため、「評価のない土地なんて対象外だろ」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、墓地のように登録免許税法であらかじめ非課税が示されているもの以外は、「100万円以下であることを証明」する必要がありますので、必ず評価額の確定をする必要があります。
詳しく知りたい方は、法務局の窓口又は、司法書士にご相談ください。