1.登記簿上の住所と役場の書類から証明できる住所が、異なると何が問題か?
亡くなられた被相続人の「住所を証する書面」から、どうしても登記簿上の住所に繋がらないケースがまれにあります。このような場合、役場で取得できる「住民票の除票の写し」「戸籍の附票の写し」等により承継することはできません。では、登記簿上の住所と役場の書類から証明できる住所が、異なると何が問題になるのでしょうか?
まず、相続登記をする場合、被相続人(亡くなられた方)が所有する不動産の登記簿上の住所と氏名をもって「同一人物」の判断をすることになります。つまり、上記のように「住所がつながらない」状態では、今回相続登記をする被相続人と登記簿上の名義人とが同一人であるとの判断ができなくなるわけです。
今回のケースは、実家からあらたに土地建物を贈与により取得し、結婚を機に新しい住所に引っ越しをして登記をしているのですが、その住所がご実家の住所となっていました。しかし、住民票の除票の写しを見ると、引っ越し先の不動産の住所が記載され「前住所」欄に記載が何もありませんでした。これが意味することは、「生まれたときからその住所にいた」ということになります。戸籍の附票の写しからもたどることができませんでした。しかし現実は、ご実家から引っ越されているわけです。
2.同一性を証明できないと相続登記はできないのか?
正直、役場の窓口で固まってしまいました。困りました。このままでは、相続登記ができません。このような場合に、対処方法がありますので解説していきます。