(2)相続登記を含む手続きに必要な印鑑証明書と住民票
遺産分割協議書が整えば、これに実印で押印し「印鑑証明書」を添付します。また、当該相続人が日本の不動産を相続により取得する場合、「住民票」が必要となります。
しかし、外国に居住されている日本の方は、「印鑑証明書」・「住民票」共に取得することができません。それでは、通常必要となる書類(印鑑証明書や住民票など)に代わる証明書はどういったものが該当するのでしょうか。
①印鑑証明書に代わる「サイン証明書」
台湾や韓国を除いて、日本以外の国では印鑑証明書や住民票の制度が存在しません。この場合、海外では、実印の代わって署名(サイン)で行いますので、海外にいる相続人は、遺産分割協議書に署名(サイン)を行うことで代替え手段を使います。そして、印鑑証明書の代わり、日本領事館等の在外公館に出向いて遺産分割協議書に相続人が署名した旨の証明(サイン証明)をもらってきて、このサイン証明を遺産分割協議書に添付することで対応します。この場合、遺産分割協議書は、日本にいる相続人も含めた全員分(1通)のものではなく、内容が同じ、サインをする相続人のみの署名欄がある遺産分割協議書にしておきましょう。
➁住民票に代わる「在留証明書」
当該相続人が日本にある不動産を相続する場合、住民票が必要となりますが、先にも書いた通り、住民票は取得できません。ですので、代替え手段である「在留証明書」を取得する必要があります、手続きは、現地の日本領事館にパスポートや運転免許証といった現住所にいつから居住しているのかを証明できる書類を提示することによって申請・取得することができます。
2.外国に帰化した相続人がいる場合の手続について
他国に帰化した人でも、相続人であることを証明する必要があります。日本人であれば、当然のように相続人であることを戸籍で証明することができますが、外国人には戸籍がありません(海外では戸籍制度がない国の方が多い)。
そこで、戸籍に代わって相続人であることを証明する「相続証明書」が必要となります。
この「相続証明書」という証明書が存在するわけではなく、被相続人と当該相続人との関係性を証明する書類になります。例えば「出生証明書」「婚姻証明書」「死亡証明書」等が該当します。
3.生前の対策の重要性