相続法律・税務無料相談会のご案内
令和7年12月17日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

相続によって、兄弟や親族の名義が並ぶ「共有不動産」が増えています。登記義務化の流れの中で、共有のまま放置された不動産は、売却も利用もできない"負動産"になるおそれがあります。今回は、共有不動産の仕組みと、放置が招くトラブルを司法書士の立場から解説します。
■目次
1. 共有不動産とは──なぜ相続で「共有」が生まれるのか

不動産の相続では、相続人が複数いる場合、その不動産を分けずに「共有」という形で引き継ぐことがあります。
たとえば、父親が亡くなり、母と子ども二人が相続人である場合、遺言書や遺産分割協議がなければ、登記上は母と子ども二人の「共有名義」になります。
このような共有状態は一見「平等に分けたようで安心」と感じられますが、実は将来的なトラブルの芽を抱えています。
不動産は物理的に分けることが難しいため、誰かが使う・売る・貸すといった行為をするときには、原則として共有者全員の同意が必要となるからです。
近年は、相続登記の義務化(2024年4月施行)によって登記自体は進みましたが、結果として共有不動産の件数が増加しているのが実情です。
「相続登記をしたら安心」ではなく、「共有のまま放置しないこと」がこれからの課題となります。
2. 共有状態のまま放置するリスク

共有不動産を放置すると、次のような問題が時間の経過とともに顕在化します。
(1)売却や利用ができない
共有不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。
たとえ一人でも反対すれば、売却は進められません。
「兄弟のうち一人が海外在住で連絡が取れない」など、現実的な問題が障害になります。
(2)固定資産税などの負担だけが続く
共有者全員が等分に税負担を負うのが原則ですが、実際には「代表者だけが払い続けている」ケースも多く見られます。
税負担をめぐって感情的な対立が起こることもあります。
(3)管理責任・修繕義務の所在が曖昧になる
建物が老朽化しても「誰が修繕するのか」が決まっていないため、結果的に誰も手を付けず、近隣から苦情が入る事態も。
香川県内でも、空き家対策特別措置法に基づき「管理不全空き家」として行政指導を受けたケースが増えています。
(4)次の相続でさらに複雑化する
共有者の一人が亡くなると、その持分がさらに複数の相続人へ引き継がれ、**"二重・三重の共有"**になります。
こうなると、実務上の解消は非常に困難です。
3. よくあるトラブル事例

司法書士の現場で多いのは、次のようなケースです。
このような状況では、司法書士が関与しても「調整役」だけでは限界があります。
登記・法的整理と同時に、「誰がどう引き継ぐか」を家族で早期に話し合うことが重要です。
4. 「共有解消」を検討する前にすべきこと

共有状態を見直す第一歩は、現状の登記内容を正確に把握することです。
これらを整理することで、初めて「共有解消の方法」を検討できるようになります。
実際の方法には「売却」「分割」「持分買取」「持分放棄」などがありますが、
それぞれに法的要件や注意点があり、個別事情に応じた判断が必要です。
特に農地が含まれる場合は、農地法の許可が必要になることがあります。
ただし、共有者間での調整として「持分放棄」により許可を不要とするケースもあります。
この"許可不要の実務テクニック"については、第4回の記事で詳しくご紹介します。
5. 司法書士に相談すべきタイミング
次のような場合は、司法書士への相談を強くおすすめします。
司法書士は、法的整理だけでなく、家族間の利害を調整しながら実務的な落としどころを提案する専門家です。
「解消する」ことが目的ではなく、**「家族の関係を壊さずに次の世代へつなぐ」**視点で支援できます。
香川県内でも、共有不動産に関する相談は年々増加しており、
「相続登記を済ませた後に問題が発覚した」というケースも多いのが実情です。
登記が終わった段階で一度現状を確認し、今後の方針を話し合っておくことが、最も効果的な"トラブル予防策"です。
6. まとめ──早めの「整理」が家族を守る
共有不動産は、時間が経てば経つほど整理が難しくなります。
関係者が増え、思い出や感情も複雑に絡み、手続きが進まなくなることがほとんどです。
相続登記をしたタイミングこそ、「共有のままで良いのか」を見直すチャンス。
司法書士は、その整理を法的・実務的にサポートする専門家です。
※争いがある場合は、弁護士にご相談ください。
次回は、具体的な「共有解消の3つの方法」──売却・分割・買取──について詳しく見ていきます。

■(無料相談会のご案内)
🟩 香川県内で共有不動産の整理・登記にお困りの方へ
アイリス国際司法書士・行政書士事務所では、相続によって生じた共有不動産の調査・登記・共有解消のご相談を承っています。
状況の整理から法的手続きまで、司法書士がわかりやすくご案内いたします。
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令和7年12月17日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
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近年、「モームリ」に関連した弁護士法違反で業者が摘発されたニュースが話題になりました。司法書士業界においても"不当誘致"が問題視され、日本司法書士会連合会から注意喚起が行われています。私たちアイリス国際司法書士・行政書士事務所では、開業以来一貫して"広告を使わない方針"を貫いてきました。本記事では、その理由を司法書士法施行規則や行為規範の趣旨から紐解きながら、私たちの「専門家としてのスタンス」をお伝えします。
ある日、「数十年前に亡くなった父の農地を売却したのですが、売却代金を相続人でどう分ければいいでしょうか」というご相談を受けました。
一見すると単純な"お金の分け方"の話のように見えますが、実際には相続登記の内容や経緯、関係者の事情など、複雑な背景が潜んでいました。