相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
第1回:実家が「空き家化」していないか?年末帰省で必ず見るべきチェックポイント

年末は、実家の「今」を確認できる貴重なタイミングです。親が元気に暮らしていても、気づかないうちに実家が"空き家化"していくケースは少なくありません。本記事では、空き家化の初期サイン、放置によるリスク、相続に直結する法律上の問題を、司法書士の視点からわかりやすく解説します。
■ 目次
- 年末は実家の状態を"客観的に見られる"唯一の機会
- 空き家化は突然ではなく"静かに進む"
- 年末帰省で必ず見るべき実家のチェックポイント
- 空き家状態が招く法律・相続トラブル
- 売却・賃貸を妨げる「所有者不明化」リスク
- 早期対策の重要性と、司法書士ができる支援
- まとめ — 年末点検は「家族を守る最初の一歩」
1.年末は実家の状態を"客観的に見られる"唯一の機会

年末年始は、普段は離れて暮らす家族が久しぶりに集まる時期です。
普段は電話やLINEで感じる「元気そう」の印象も、実際に帰省して実家の様子を見ると、「あれ? 雰囲気が去年と違う」と気づくことが少なくありません。
司法書士として相談を受けていると、「もう少し早く気づいていれば、空き家の問題がここまで大きくならなかったのに」というケースが多く見られます。
家は、年単位で静かに劣化し、気づいたときには対処が難しくなっていることもあります。
だからこそ、"家族みんなが帰省する年末"は、実家をチェックする最良の時期なのです。
2.空き家化は突然ではなく、"静かに進む"

空き家とは「人の居住や使用が無い状態の家」のことを指しますが、実務では次のような"空き家化の前段階"がよく問題になります。
- 親が入院や施設入所で不在がち
- 物置状態になり、生活の気配が薄い
- 片づけが追いつかず、危険な状態
- 修繕がされず、外観が明らかに劣化している
これらは、まだ人が住んでいても**"準・空き家"**と呼ばれる段階です。
この段階で見過ごすと、相続時に以下の問題が一気に顕在化します。
- 実家の売却が難しい
- 修繕費が高額になる
- 相続人の誰も住まず、管理ができない
- 近隣クレームが発生する
- 相続登記をしていないと、権利関係が複雑化する
空き家化は「放置の結果」ではなく、むしろ気づかないうちに進行しているケースがほとんどです。
3.年末帰省で必ず見るべき実家のチェックポイント
司法書士として現場で見てきた経験から、「ここを見れば実家の危険度がわかる」というポイントを整理します。

✔ 外観の劣化
- 庭木が伸び放題、雑草が膝丈
- 外壁のヒビ、屋根の破損
- 郵便受けのチラシが溜まっている
→ 管理が行き届いていないサイン。
✔ 室内の生活感
- 生活動線にゴミや物が散乱
- 冷蔵庫が空に近い
- 電球が切れたまま
→ 高齢の親が管理に手が回っていない可能性。
✔ 防犯・防災の状況
- 窓の施錠が甘い
- 古いブレーカー・コンセント
→ 空き巣・火災リスクが上昇。
✔ 隣近所との関係
- 「最近、お母さん見ないね」
- 「庭の木が境界にはみ出してるよ」
→ 近隣トラブルの兆候は見逃さない。
✔ 名義・相続に関する書類の有無
- 権利証/固定資産税通知
- 相続関係の資料が整理されていない
→ 後で探すより、今確認した方が間違いなく負担が少ない。
4.空き家状態が招く法律・相続トラブル

空き家化すると、単に「家が古くなる」だけでは済みません。
司法書士の実務では、次のような深刻な問題につながるケースが後を絶ちません。
● 固定資産税の負担が増える
管理が不十分な"特定空家"に認定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がることがあります。
● 倒壊・火災などの賠償責任
管理不全の空き家から火災が起きると、所有者に多額の損害賠償責任が発生することも。
● いざ売却しようとしたら、修繕費だけで数百万円
外壁・屋根・給水設備など、空き家期間が長いほど劣化は加速します。
● 相続時に兄弟間の意見が割れる
「残す/売る/貸す」で意見がまとまらず、実家が"争族"の原因に。
こうしたトラブルの多くは、年末の段階で気づいていれば防げたものばかりです。
5.売却・賃貸を妨げる「所有者不明化」リスク

ここが、司法書士として最も強調したいポイントです。
実家が老朽化し、誰も住まなくなると、
「売却して現金化しよう」
「賃貸で活用しよう」
という判断が家族内で出てきます。
ところが――
名義が古いままだと、ここで一気に動けなくなります。
- 祖父名義のまま
- 亡くなった父の名義のまま相続未登記
- 兄弟が増えて共有者が複数人
- 連絡が取れない相続人がいる
この状態になると、
売ることも貸すことも、手続きさえ前に進まない
典型的な"所有者不明化問題"に直結します。
相続登記義務化(2024年4月開始)によって、未登記放置は法的な罰則の対象となり、さらに問題が顕在化しやすくなりました。
年末帰省では、
「この家の名義、誰のまま?」
を確認するだけで、将来の負担を大幅に減らせます。
6.早期対策の重要性と、司法書士ができる支援

実家問題は、早く動くほどコストも負担も小さくなるのが現実です。
司法書士として行えるサポートは次のとおりです。
- 名義(登記)の現状調査
- 相続関係図の作成
- 相続登記の一括手続き
- 不動産の売却・贈与を見据えた登記相談
- 遺言書作成のサポート
- 共有者が多い場合の整理方法の提案
「まだ大丈夫」は一番危険な判断です。
年末に気づいた違和感のうちにご相談いただければ、問題は必ず小さくできます。
7.まとめ — 年末点検は「家族を守る最初の一歩」
実家の管理は、家族の将来に直結する大切なテーマです。
特に今年は、相続登記義務化以降「名義放置」のリスクが大きく取り上げられています。
だからこそ、
"帰省した時に気づけること"は、その年のうちに対策する
これが最重要です。
空き家化の初期サインや名義の確認は、家族の資産を守る確実な一歩。
司法書士として、年末の今だからこそ、ぜひ実家を見直していただきたいと思います。

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