相続法律・税務無料相談会のご案内
令和8年1月14日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。

2024年4月から始まった「相続登記の義務化」。
これにより、"負動産"を放置することはもはや許されなくなりました。
しかし、「義務化=問題解決」ではありません。
登記をしても維持・管理できない土地が残る現実の中で、司法書士の立場から見た"現実的な終い方"を考えていきます。
📖目次
1. 相続登記義務化で何が変わったのか

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
これにより、相続人は「相続の開始(被相続人の死亡)を知った日から3年以内」に登記を行う必要があります。
違反した場合は、**10万円以下の過料(罰金)**が科される可能性があります。
この制度改正の背景には、全国で増え続ける「所有者不明土地」の存在があります。
名義が亡くなった親のまま放置され、売ることも貸すこともできない──。
こうした土地が全国で**九州全土を超える面積(約410万ヘクタール)**にも達しているといわれています。
義務化は、この問題を少しでも減らすための第一歩です。
しかし実際の現場では、「登記できない」「したくても意味がない」という声も多く聞かれます。
2. 義務化で「困る人」が増えている現実

司法書士として相談を受けて感じるのは、
この義務化が**"手続きが進まない人"にこそ重くのしかかっている**という現実です。
よくある相談例には次のようなものがあります。
つまり、登記義務化は「動ける人」が動きやすくなる制度であり、
逆に「問題を抱えている人」にとってはより負担が増す制度でもあります。
3. 登記をしただけでは"負動産"は終わらない

登記を済ませることは大切ですが、それだけで"負動産"の問題が解決するわけではありません。
名義を移した後、その土地や建物を**「どう維持するか」「どう終うか」**が次の課題です。
実際に、登記を終えた後に次のような声を聞きます。
「名義は自分になったけれど、管理の手間と税金が重い」
「登記しても誰も住まないので、結果的に固定資産税だけ払っている」
このように、登記後の管理・維持・処分の方がむしろ重要になっているのです。
司法書士としても「登記はゴールではなくスタート」とお伝えしています。
4. 「引き取り手がいない」土地への3つの選択肢

それでは、誰も使わない"負動産"をどう整理すればよいのでしょうか。
現実的には、次の3つの方法が中心になります。
① 売却する(ただし市場性に注意)
需要がある地域では、早期売却が最も効率的な方法です。
ただし、老朽化した家や境界不明の土地は、解体や測量が必要となり費用負担が先行します。
まずは「査定前の整備」が大切です。
② 相続土地国庫帰属制度を利用する
令和5年4月にスタートした新制度。
一定の条件を満たせば、土地を国に引き渡すことが可能です。
ただし、
③ 家族内で"合意して引き取る"
遺産分割協議で、管理ができる相続人に権利を集中させる方法。
「固定資産税の負担分を現金で補う」など、柔軟な合意を行えば現実的に処理できます。
このケースでは、協議書作成と登記手続きがセットで必要になります。
5. 実務から見た"現実的な終い方"のステップ

負動産を"うまく終う"ためのステップは、次の3段階です。
ステップ① 現況を「見える化」する
ステップ② 家族で「話す」
ステップ③ 専門家に「相談する」
実際、こうした相談を早期に行った方ほど、費用も手間も少なく済んでいます。
「今はまだ大丈夫」と先送りすると、次の相続時に問題が倍増するのが負動産の怖いところです。
6. まとめ──「登記」はゴールではなくスタート
登記義務化によって、すべての土地が"動き出す"わけではありません。
しかし、放置はもう選択肢にならないという点で、この制度は大きな転換点です。
司法書士としてお伝えしたいのは、
「登記」も「処分」も、"相続が発生する前から動く"ことが最大の防御策だということ。
空き家・農地・山林──どんな不動産も、"誰がどう終うか"を今のうちに考えておくことが、
家族にとって最も優しい"終い方"です。

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