遺言・遺産分割ルールの実務チェック ― 2019年改正の「見落とし」が2025年に問題化 ―

2026年01月07日

相続法の大きな改正から数年が経ちましたが、実際にトラブルとして表面化しているのは2025年に入ってからというケースが増えています。特に配偶者居住権や特別寄与料は、制度を正しく理解していないと相続手続きが複雑化しやすいポイントです。本記事では、遺言や遺産分割において見落とされがちな実務上の注意点をチェックリスト形式で解説します。

目次

  1. 2019年改正民法(相続法)のポイントを振り返る
  2. なぜ「今」問題になっているのか
  3. まず確認したいチェックリスト
  4. 配偶者居住権が"使われない理由"
  5. 特別寄与料請求が起きやすいケース
  6. 遺言で対策できること/できないこと
  7. 2025年型・遺言見直しの実務ポイント
  8. まとめ|早めの見直しがトラブルを防ぐ

1. 2019年改正民法(相続法)のポイントを振り返る

 2019年の相続法改正では、実務に大きな影響を与える制度がいくつか導入されました。
代表的なものとして次の制度があります。

  • 配偶者居住権
  • 特別寄与料
  • 遺言執行者の権限明確化
  • 預貯金の仮払い制度

これらは、高齢化社会で増える相続トラブルへの対応策として整備されたものです。

2. なぜ「今」問題になっているのか

 改正当初は注目されていた制度も、
実際に使われる場面が増えたのはここ数年です。

理由としては、

  • 改正前に作成された遺言書がまだ多く使われている
  • 高齢の配偶者が残される相続が増えている
  • 介護や生活支援を担う家族構成が複雑化している

といった背景があります。
制度を知らずに相続が始まると、想定外の請求や対立が起こる可能性が出てきます。

3. まず確認したいチェックリスト

 次の項目に当てはまる場合、遺言や遺産分割の見直しが必要かもしれません。

  • 遺言書を10年以上前に作成している
  • 配偶者が自宅に住み続けている、または住み続ける予定
  • 被相続人の介護をしていた家族がいる
  • 相続人ではない親族や第三者が生活を支えていた
  • 「昔作った遺言だから大丈夫」と思っている

4. 配偶者居住権が"使われない理由"

 配偶者居住権は、配偶者が亡くなった後も
自宅に住み続けることを保障する制度です。

しかし、実務では次の理由から使われないことも多くあります。

  • 制度自体を知らない
  • 評価や登記が複雑に感じられる
  • 売却や活用が制限されることを懸念
  • 遺言で明確に定められていない

結果として、

  • 相続でもめたとき自宅を相続できず住み替えを迫られる
  • 他の相続人との調整が難航する

といった問題につながることがあります。

5. 特別寄与料請求が起きやすいケース

 特別寄与料とは、
相続人以外の親族などが被相続人の生活や療養に特別な貢献をした場合に、金銭請求できる制度です。

請求が起きやすいのは、次のようなケースです。

  • 長年にわたり無償で介護をしていた(単に面会等だけではダメで、介護のおかげで本来かかる費用を抑えられていたなどの要件があります)
  • 同居して生活全般を支えていた
  • 事業や家業を手伝っていた

 遺言や事前の話し合いがない場合、
相続開始後に突然請求がなされ、相続人同士の対立に発展することもあります。

6. 遺言で対策できること/できないこと

 遺言書は非常に有効な手段ですが、万能ではありません。

遺言で対策できること

  • 配偶者居住権の設定
  • 特定の財産の承継先指定
  • 遺言執行者の指定

遺言だけでは不十分なこと

  • 特別寄与料請求の完全排除
  • 相続人間の感情的対立
  • 状況変化(再婚・介護状況の変化)への対応

そのため、遺言+生前の説明・整理が重要になります。

※遺留分の排除もできません。詳しくは専門家に相談しましょう。


7. 2025年型の遺言見直しポイント

2025年以降の相続を見据え、遺言は次の視点で見直すことが重要です。

  • 配偶者居住権を使うかどうかを明確にする
  • 介護や貢献への配慮をどう反映するか
  • 古い遺言が現状に合っているか確認する
  • 相続登記・住所変更義務化との整合性

「とりあえず作った遺言」は、
今の家族関係に合わないことも少なくありません。

8. まとめ|早めの見直しがトラブルを防ぐ

遺言や遺産分割ルールは、
相続が始まってからでは修正できないものがほとんどです。

  • 制度を知らないまま相続が始まるリスク
  • 古い遺言が新しい制度に対応していないリスク
  • 配慮不足が争いに発展するリスク

これらを防ぐためにも、
2025年は「遺言の見直し」を考える良いタイミングといえるでしょう。

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