令和5年6月6日、改正法が成立し、令和5年6月14日公布されております。そして、公布から2年6か月以内の政令で定める日が施行日となりますので、おそらく令和7年ごろからの開始となりそうです。
改正後は、公証人の面前での手続きについて、遺言者が希望し、公証人が相当と認めるときは、ビデオ通話を利用できるということになっています。この場合の本人確認は、マイナンバーカードの電子証明書が利用されることになっております。
4.「公証人が相当と認めるとき」とは
公証人が相当と認めるときとは、いったいどんな時なのかという疑問がわいてきますね。こちらについては、「法務省 公証実務のデジタル化に関する実務者との協議会」の資料によると、「必要性と許容性とを総合的に勘案して判断」するそうです。これまた、よくわからない表現になっています。
必要性とは?(必要性で問題とならない場合)
①心身の状況や就業状態等により公証役場に出向くのが難しい場合
➁公証役場委に行くのが困難な地域
③感染予防のため施設や病院に外部の人が入れない状態
などが挙げられます。
許容性とは?(許容性で問題となる場合)
①本人確認、意思確認をビデオ通話でも問題なくできない。
➁遺言能力について問題となりやすい高齢者。
③遺言能力に影響を及ぼす可能性のある病気・症状の診断を受けている。
④合理的な理由なく一部の相続人に全財産を相続させる遺言内容。
➄公証人への事前相談が遺言内容に利害関係を有する一部の親族を通じてされている。
このような場合には、公証役場も後々にもめることを考慮して慎重に許容性を判断することになります。
5.デジタル遺言制度創設検討開始