相続の相談でいちばん多い失敗は、
「税理士に行ったら登記の話ができず、司法書士に行ったら税金が分からない」ことです。
(論点)「遺産放棄」と「相続放棄」。間違えると大変!

「遺産放棄」と「相続放棄」は、どちらも相続に関わる重要な選択肢ですが、その意味や手続き、効果に違いがあります。これらの違いを明確に理解することで、相続における適切な判断ができるようになります。ここでは、それぞれの定義、手続き、効果の違いについて詳しく説明します。
目次
1. 遺産放棄とは
2. 相続放棄とは
3. 遺産放棄と相続放棄の違い
4. 選択する際の注意点
結論
1. 遺産放棄とは

「遺産放棄」は、相続人が特定の財産や権利を受け取らない意思を示す行為です。これは、相続自体を全て放棄する「相続放棄」とは異なり、相続の一部を放棄することができるのが特徴です。例えば、相続人が複数いる場合に、不動産や現金など特定の財産に関して放棄することが考えられます。
遺産放棄の大きな目的の一つは、相続人間の話し合いで特定の相続財産の分配を調整することです。相続人同士が話し合って、一部の相続人がある財産を取得し、他の相続人が別の財産を取得する、といった柔軟な調整ができるのが遺産放棄の利点です。これにより、遺産の分配に関する争いを防ぎ、スムーズな相続手続きを進めることが期待されます。
しかし、遺産放棄は一度決めた後に取り消すことができません。放棄する財産や権利が何であるかを慎重に検討し、家族間で十分な合意を得ることが大切です。また、遺産放棄をしたとしても、他の財産については相続権を保持しているため、負債を相続する可能性がある点にも注意が必要です。
2. 相続放棄とは

一方、「相続放棄」は、相続人が一切の相続を拒否することを指します。これは、相続人が相続財産に対して持つすべての権利と義務を放棄する行為です。相続放棄をすると、財産だけでなく、借金やその他の負債についても相続しないことになります。
相続放棄の手続きは、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出することによって行います。相続放棄を希望する場合は、相続が開始されたことを知った時から3か月以内にこの手続きを完了しなければなりません。この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、相続人が財産や負債の内容を確認し、相続を引き受けるかどうかを判断するための時間です。
相続放棄の大きな特徴は、放棄した場合、最初から相続人ではなかったとみなされる点です。これにより、相続放棄をした相続人は相続財産の分割に一切関与せず、また相続に関連する債務も免除されます。このため、多額の負債がある場合や、不要な財産(例えば処理に費用がかかる不動産など)がある場合に有効な手段となります。
3. 遺産放棄と相続放棄の違い
両者の最も大きな違いは、「全体を放棄するか、一部を放棄するか」という点です。
遺産放棄は、特定の財産に対する相続権を放棄するものであり、他の財産は相続します。これにより、特定の財産に対する争いを避けたり、相続人間での調整を図ることが可能です。
相続放棄は、相続全体に対して放棄する行為で、相続人が相続財産や負債をすべて放棄する形になります。相続放棄を行うことで、相続人としての立場から完全に外れることになり、その後の相続手続きにも関与しません。
また、手続き面でも違いがあります。遺産放棄は家庭裁判所での手続きは不要ですが、相続放棄は裁判所への申述が必要です。また、相続放棄は3か月という期間制限がありますが、遺産放棄にはこのような明確な期間制限はありません。
4. 選択する際の注意点
遺産放棄を選ぶ際には、相続人間での話し合いを十分に行い、全員が納得できる合意を得ることが重要です。これができていない場合、後に相続人間でトラブルが生じる可能性があります。また、相続放棄を検討する際には、財産の中に負債が含まれているかを確認することが大切です。多額の負債がある場合、相続放棄をすることでその負債から免れることができますが、財産もすべて放棄することになるため、慎重な判断が求められます。
さらに、相続放棄を行う際には、他の相続人への影響も考慮する必要があります。例えば、第一順位の相続人全員が相続放棄を行った場合、相続権は次の順位の相続人に移るため、家族構成や関係者の意向を確認しておくことが大切です。

結論
「遺産放棄」と「相続放棄」は、いずれも相続の場面で利用される重要な手段ですが、その目的や効果は異なります。遺産放棄は、特定の財産に対する相続権を放棄することで、相続人間の調整を図るために利用されます。一方、相続放棄は、相続全体を放棄し、相続人としての立場から完全に外れる手続きです。それぞれの制度の違いを理解し、相続状況に応じて適切に選択することが重要です。相続問題は複雑で、専門家の助言を得ることで、より適切な判断ができるでしょう。
法律は、残念ながら知っている者の味方です。隣の人が言っていることを信じて、自分が相続放棄したと言っても、法的に効力が出るように「手続」を踏まなければ、3ケ月の期限切れで、相続放棄できなくなります。この時、被相続人(亡くなった方)に多額のお金を貸したという第三者が現れ、その有効な証拠も持っていた場合、法律はこの第三者の味方をします。

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