(論点)パワハラについて考える

2025年02月08日

パワハラについて考えてみたいと思います。私自身も理不尽な経験を経て、今では自分の事務所を立ち上げ、経営者として人を雇用する立場になる可能性も考えるようになりました。当時私が受けたようなパワハラを今やれば、確実に社会的な制裁を受けるでしょう。しかし、現代社会においてもパワハラは依然として根強く存在し続けています。では、なぜパワハラは時代錯誤だと言われながらも無くならないのでしょうか。その理由を考え、まとめてみます。

目次 

0. はじめに

1. 企業文化の影響

2. 上司のストレスや自己防衛

3. 被害者の沈黙

4. パワハラと指導の混同

5. 社会的認識の遅れ

6. 経営者として考えるべきこと


0. はじめに

 実は、私もかつて某会社でパワハラを受けた経験があります。当時、毎日のように叱責され、自分の存在価値が否定されているような状況が続きました。その結果、次第に自分自身の頭では何も考えられなくなり、精神的に追い詰められていくのを感じました。この経験を通じて私が学んだのは、「世の中には、どんなに理論や言葉を尽くしても通じない、人の気持ちが理解できないバカな人間がいる」ということでした。この経験を通して、パワハラというものについて少し考えてみたいと思います。

1. 企業文化の影響

 パワハラが続く大きな要因の一つとして、企業文化の問題が挙げられます。特に日本の企業では、年功序列や上下関係が重んじられ、上司の指示には従うのが当然という風潮が根強く残っています。こうした環境では、上司が部下を厳しく指導することが正当化され、時にはその指導がパワハラに変わることがあります。私がパワハラを受けた当時も、上司は「結果を出すためには厳しくするのが当然だ」といった態度でしたが、その実態は単なる叱責や人格否定に過ぎませんでした。厳しい指導とパワハラを混同することが、今でも多くの職場でパワハラが続く原因の一つとなっているのです。

2. 上司のストレスや自己防衛

 また、上司自身がストレスを抱えていることもパワハラの一因です。多くの上司は、自分自身が高い成果を求められており、そのプレッシャーを部下に転嫁してしまうことがあります。私のケースでも、上司は自身の仕事の成果に対する不安やプレッシャーを感じていたようで、その結果として私に対して過度な要求をしていました。成果を出せなければ強く叱責され、逆に成果を出したとしても認められることはなく、更なる高い要求が続きました。このように、上司が自分の無力感を隠すために部下を攻撃し、それがパワハラとなってしまうケースは少なくありません。

3. 被害者の沈黙

 パワハラが続くもう一つの理由は、被害者が声を上げにくい環境にあることです。私自身もそうでしたが、パワハラを受けている際に上司に逆らったり、社内で相談することに強い恐怖を感じることがあります。報復を恐れて声を上げられず、黙って耐えるしかないという選択を取ってしまう被害者が多いのです。私の場合も、上司に逆らうとさらに酷い仕打ちを受けるのではないかという恐怖心がありましたし、同僚に相談しても理解されないのではないかという不安が常にありました。このような「沈黙の文化」が、パワハラの温床を作り出しているのです。

4. パワハラと指導の混同

 多くの経営者や上司が、リーダーシップや指導とパワハラを混同している点も問題です。厳しい指導や叱責が部下の成長に繋がるという考えは、必ずしも間違いではありませんが、人格否定や過剰な圧力を伴う指導は、部下の成長を妨げるどころか、精神的に追い詰めてしまいます。私がパワハラを受けた際にも、上司は「これもお前のためだ」という名目で叱責を繰り返していましたが、実際には私の自尊心を傷つけ、精神的に追い詰めるだけでした。このような「成長のための厳しさ」という誤解が、パワハラを正当化してしまう一因となっているのです。

5. 社会的認識の遅れ

 さらに、社会全体でのパワハラに対する認識がまだ十分に成熟していないことも、パワハラが続く要因です。法律や規制は進んできていますが、実際の職場での意識改革はまだ追いついていない現状があります。特に、上司と部下の力関係が強調される環境では、パワハラを「仕事の一環」として容認する風潮が残っており、被害者の声が軽視されることがあります。私がパワハラを受けた当時も、上層部に相談しても「それくらい我慢しろ」という反応しか得られませんでした。このように、パワハラに対する社会的な意識改革が遅れていることが、問題の解決を難しくしています。

6. 経営者として考えるべきこと

 経営者として、私は今後、自分が受けたパワハラの経験を反面教師にしなければならないと感じています。社員が安心して働ける環境を提供するためには、単に厳しい指導を行うのではなく、個々の社員に寄り添い、彼らの意見を尊重する姿勢が必要です。パワハラは、組織全体の生産性を低下させ、社員の士気を奪い、長期的には企業の成長を阻害する重大な問題です。これを防ぐためには、組織の風土を変え、リーダーシップの在り方を見直すことが不可欠です。

 私が受けた経験を踏まえ、今後の経営者としての役割を考えると、パワハラが発生しない健全な職場を築くための取り組みが必要です。これは社員のためだけでなく、企業全体の成長と発展にも繋がるものです。

別事例では、雇った店長候補の人間が、現場の人間にパワハラまがいのことをし続け、人が定着せず、結果、営業ができなくなってしまったということや、とあるスーパーでは、店長がパート職員に執拗に「売上を考えろ」と一方的に怒鳴っていたため、働いていた職員全員が退職してしまい、現場を閉鎖せざるを得ない状況になったなんて話も聞きました。パワハラで得た求心力なんて存在しません。そのことに気が付かないと、後悔することになるでしょう。

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