事例1: 家族間の不公平感
背景:父親が亡くなり、母親と3人の兄弟(長男、次男、長女)が相続人となった。父親は遺言を残しておらず、相続は法定相続分に従うことになった。しかし、長男は父親の生前に家業を手伝っていたため、他の兄弟よりも多くの財産を受け取るべきだと主張。一方で、次男と長女は公平な分配を求めた。
問題点:長男は、家業への貢献を理由に法定相続分以上の相続を主張。
次男と長女は、貢献度にかかわらず、法定相続分に基づく公平な分配を希望。
家族間の信頼が損なわれ、感情的な対立が激化。
解決策:調停を通じて、長男の貢献を考慮した上で、公平な分配を模索。
弁護士や信頼できる第三者の仲介により、冷静な話し合いを実施。
家族全員が納得できるような解決策として、長男には家業関連の資産を多く配分し、他の財産については法定相続分に基づき分配。
※ここまでくると、司法書士では対応できませんので弁護士をご紹介するようにしています。
事例2: 遺言の無効主張
背景:父親が亡くなり、遺言書が発見された。しかし、その遺言書は特定の相続人(次男)に有利な内容であり、長女は遺言書が無効であると主張した。理由は、遺言書が作成された当時、父親は認知症の診断を受けており、意思能力がなかったとされているためである。
問題点:長女は遺言書の無効を主張し、法的手続きに入った。
次男は遺言書が父親の意思に基づくものであり、有効であると主張。
遺言書の有効性に関する法的紛争が発生し、裁判にまで発展。
解決策:遺言書の有効性を判断するために、医師の証言や当時の診断書を確認。
法律の専門家を交えて、遺言書の作成過程や意思能力の有無を検証。
裁判所の判断に基づき、遺言書が無効とされた場合には法定相続分での分配、または新たな遺言書の作成を促進。
事例3: 遺産分割協議の難航
背景:母親が亡くなり、遺産分割を行うことになったが、遺産には不動産が含まれていた。この不動産は価値が高く、相続人(兄、妹)間で分割方法を巡って意見が対立。兄は不動産を売却して現金で分割することを提案したが、妹は思い出の詰まった不動産を保持したいと主張した。
問題点:不動産を売却するか保持するかで相続人間の意見が対立。
不動産の評価額についても相続人間で異なる意見があり、協議が難航。
感情的な要素が絡み、解決が遅れる。
解決策:不動産の専門家に依頼して、公正な評価額を算定。
妹が不動産を保持したい場合、その価値分を他の財産で調整するか、兄に対して代償金を支払う案を提案。
不動産を一部売却して一部保持するなどの柔軟な分割案を検討。
事例4: 未成年の相続人
背景:両親が交通事故で突然亡くなり、未成年の子供(15歳)が相続人となった。遺産には多額の現金や不動産が含まれており、未成年の子供が相続手続きを行うために、後見人が必要となった。しかし、両親が後見人を指定していなかったため、親族間で後見人を巡る争いが発生。
問題点:未成年の相続人のために、信頼できる後見人を選定する必要がある。
親族間で後見人の選定を巡る意見の対立が発生。
未成年の子供の利益を最優先に考えた相続手続きが必要。
解決策:裁判所に後見人選任の申立てを行い、公正な手続きで後見人を選定。
未成年者の権利と利益を守るため、法律の専門家(弁護士や司法書士)を介して相続手続きを進める。
未成年者が成人するまでの間、後見人が適切に遺産を管理し、必要に応じて生活費や教育費を確保することが重要。
2.相続問題の解決に向けた一般的な対策