親のお金が誰のものか、という論点が浮かび上がる最大の理由は、相続財産の取り分についての認識の違いや、被相続人の意思が不明確なことが原因です。法定相続分は法律で定められているものの、現実には以下のような要因でトラブルが発生することが多いです。
親の介護や扶養:特に一人の子が親の介護を担当していた場合、その子が他の兄弟よりも多く相続を望むことがあります。法定相続分では平等な分配が原則ですが、現実的には「貢献度」を主張するケースが増えています。
親の財産の把握:遺産分割協議を始める前に、親の財産を正確に把握することが重要です。しかし、親の財産状況が不透明だったり、隠されている場合、相続人間での信頼関係が崩れることがあります。
遺言書の有無:遺言書がない場合、法定相続分に従って分割されますが、遺言書がある場合は、その内容が優先されます。しかし、遺言書の内容が公平でないと感じられた場合、相続人同士の対立が深まることがあります。
3.法定相続人の特定と財産の特定
遺産分割協議を進めるにあたり、まず「法定相続人の特定」と「遺産の特定」が必要です。以下のような手順で進めるのが一般的です。
法定相続人の特定
法定相続人を特定するためには、被相続人の戸籍謄本を取得することが重要です。戸籍謄本を通じて、被相続人が生まれてから亡くなるまでの間にどのような家族構成だったかを確認します。特に、知られていない子どもがいないかどうかを調べることが大切です。また、配偶者がいるかどうか、または亡くなっている場合、その配偶者の相続権がどのように扱われるかも確認する必要があります。
戸籍謄本を取得するには、市区町村役場で申請するか、インターネットを通じて行政書士事務所などの代理申請サービスを利用することができます。特に相続人が多い場合や、被相続人の居住地が遠方の場合は、専門家のサポートを受けるのが効率的です。
遺産の特定
次に、遺産を特定する必要があります。親の財産には、不動産や預貯金、株式、保険など多岐にわたります。以下は主な遺産の特定方法です。
預貯金:被相続人の取引金融機関から残高証明書を取得します。これは、死亡時の預金残高を確認するために必要です。残高証明書を取得するには、金融機関に死亡届や相続関係の証明書類を提出する必要があります。
不動産:不動産の特定には、固定資産税評価証明書や登記簿謄本が必要です。これらの書類は、不動産の評価額を把握するために重要です。不動産が複数ある場合、それぞれの不動産についてこれらの書類を取得しておくことが推奨されます。
株式や投資信託:証券会社に対して、被相続人が保有していた株式や投資信託の残高証明を請求します。また、配当金の支払状況も確認しておくと良いでしょう。
生命保険:保険契約の内容によっては、相続財産として扱われる部分があります。被相続人が契約していた保険の契約書を確認し、受取人や保険金額を把握しておくことが必要です。
4.専門家の活用