相続法律・税務無料相談会のご案内
令和7年5月14日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
相続の際、法定相続分に従って財産が分配されるのが一般的ですが、相続人の中には、被相続人(亡くなった方)の財産形成や維持、または療養看護に特別な貢献をした者がいることがあります。このような場合、その貢献に応じて相続分が増額されることがあります。これを「寄与分」と言います。また、相続人ではない親族が特別な貢献をした場合、相続人から特別な報酬を請求できる「特別寄与料」という制度も存在します。本稿では、寄与分と特別寄与料についての解説と、それらが認められるための要件について詳述します。
目次
1. 寄与分とは何か
2. 特別寄与料とは何か
3. 寄与分と特別寄与料の違い
まとめ
1. 寄与分とは何か
寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした法定相続人が、その貢献に応じて相続分を増額できる制度です。日本の民法では、相続人はその貢献度に応じて法定相続分よりも多くの遺産を受け取る権利が認められています。たとえば、被相続人が経営する事業を手伝い、財産を増加させた場合や、被相続人の介護を長期間にわたって行った場合など、通常の範囲を超えて特別な貢献をした相続人が寄与分を主張することができます。
(1) 寄与分が認められる条件
寄与分が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
法定相続人であること
寄与分を主張できるのは、相続人として認められている者だけです。具体的には、被相続人の子供、配偶者、兄弟姉妹など法定相続人が該当します。非相続人である親族(例:姻族)や友人には寄与分は認められません。
被相続人の財産の維持・増加に特別な貢献をしたこと
寄与分が認められるためには、被相続人の財産を維持・増加させたことが証明される必要があります。具体的な例としては、以下が挙げられます:
被相続人の事業を手伝い、利益を上げた。
被相続人に対して特別な援助を行い、財産の減少を防いだ。
被相続人の介護を継続的に行い、その生活を支えた。
寄与が「特別」であること
寄与分が認められるためには、単なる通常の家事や介護の範囲を超えた「特別な貢献」である必要があります。たとえば、長期間にわたる介護や、他の相続人と比較して圧倒的に大きな貢献があった場合がこれに該当します。
(2) 寄与分の計算方法
寄与分は、相続財産の中から寄与の程度に応じた金額を算出し、それを寄与した相続人に分配する形で決定されます。具体的には、遺産の全体額に対して寄与度を計算し、その分を他の相続人の相続分から差し引く形で分配が行われます。このため、寄与分の金額は、遺産全体の額や他の相続人の人数によって異なります。
2. 特別寄与料とは何か
特別寄与料とは、相続人ではない親族が被相続人に対して特別な貢献を行った場合、相続人に対してその貢献に応じた報酬を請求できる制度です。2019年の法改正により新設されたこの制度は、相続人以外の親族(たとえば、被相続人の配偶者の子供や義理の兄弟姉妹など)が被相続人に対して特別な援助や介護を行った場合、その者が貢献に見合った報酬を受け取ることを可能にします。
(1) 特別寄与料が認められる条件
特別寄与料が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
法定相続人ではない親族であること
特別寄与料を主張できるのは、被相続人と一定の親族関係にある者であり、かつ法定相続人ではない者です。例えば、被相続人の配偶者の連れ子、兄弟姉妹の配偶者、甥や姪などがこれに該当します。
特別な貢献を行ったこと
特別寄与料が認められるためには、相続人ではない親族が、被相続人に対して特別な貢献を行ったことが必要です。たとえば、長期にわたり介護を行ったり、被相続人の生活を経済的に支援した場合などが該当します。この貢献が、通常の範囲を超える特別なものであることが求められます。
無償で行ったこと
特別寄与料は、無償で行った貢献に対して報酬を請求する制度です。すでに報酬を受け取っていた場合や、契約によって介護などの対価が支払われている場合には特別寄与料は認められません。
(2) 特別寄与料の請求方法
特別寄与料を請求するためには、相続が開始した後、相続人に対して報酬請求を行う必要があります。この請求は、相続開始から6ヶ月以内に行う必要があります。請求が認められた場合、特別寄与料は相続財産から支払われるため、遺産分割協議においてその金額が調整されます。
3. 寄与分と特別寄与料の違い
寄与分と特別寄与料は、どちらも被相続人への貢献に基づいて報酬を受け取る制度ですが、いくつかの違いがあります。
対象者の違い
寄与分は法定相続人に認められる権利であるのに対し、特別寄与料は法定相続人ではない親族に認められるものです。第三者の場合は認められません。
貢献の範囲の違い
寄与分は被相続人の財産の維持や増加に貢献した場合に認められるのに対し、特別寄与料は主に介護や生活支援などの無償での援助が対象となります。
手続きの違い
寄与分は遺産分割協議の中で調整されるのが一般的なのに対し、特別寄与料は相続人に対して請求を行う手続きが必要です。
まとめ
寄与分と特別寄与料は、被相続人への貢献を評価し、それに応じた報酬を得るための重要な制度です。特に寄与分は、法定相続人に認められるものであり、財産の維持・増加に大きく貢献した場合にその相続分を増額できるという点で重要です。一方、特別寄与料は、相続人ではない親族が被相続人に対して特別な貢献をした場合に、報酬を請求できる制度です。いずれの制度も、相続手続きにおいて適切に利用することで、公平な遺産分配が行われることを目指しています。
令和7年5月14日(水)に「北野純一税理士事務所」内で開催されます「相続法律・税務無料相談会」が実施されます。相続前のご相談、相続発生後のご相談、どちらにも対応しております。
相続登記の際、遺産分割協議書は非常に重要な書類となります。しかし、時折相談者から「やってもいない遺産分割協議についての協議書が送られてきた」といった疑問や不安の声が寄せられることがあります。このような場合、法令に違反している可能性もありますが、協議の認識に誤解がある場合も少なくありません。本稿では、遺産分割協議書が郵送された場合の対応方法や注意すべき点について、実際の事例を交えながら解説します。
相続が発生した際、遺産をどのように分割するかを決定するために、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議書は、その合意内容を正式に書面で残すものであり、特に不動産の相続登記を行う際に必須の書類となります。しかし、この協議書の内容が不備であったり、相続人全員の同意が得られていない場合、後々のトラブルを招くことがあります。本稿では、遺産分割協議書を作成する際に注意すべき点について詳しく解説し、トラブルを未然に防ぐための対策を考察します。
相続が発生した際、不動産の所有権移転を行うためには、相続登記を行う必要があります。一般的な相続登記では、父親が死亡し、配偶者と子供が相続人となるケースがよく見られます。この際に必要となる添付書類は、法定相続分による登記と、二次相続対策として子供に所有権を移転する場合で異なります。特に二次相続に備えるための所有権移転には慎重な準備が必要です。本稿では、それぞれのケースでの必要な書類を整理し、どのように進めるべきかを解説します。