敵意帰属バイアスというのは、しばしば、実社会で見られます。例えば、私が若かりし頃、会社の会議で、ひとしきり今後の会社の方針について説明があったのちに、「若者の忌憚のない意見を聞きたい。」と言ったので、忌憚のない意見を言うと「黙れ若造。」とののしられた経験があります。言えといったから言ったのに、とてもおかしな状況ですよね。
敵意帰属バイアスは、他人の言動や行動や意図を故意の攻撃や敵意によるものと解釈する認知バイアスです。なぜそのようなことが起こるのかというと、自分が用意していた答え(会社の今後の方針を役員の方たちから説明を受けて、自分の理解している範囲で説明をしたこと)と異なる意見が出てきてしまったために過剰に反応したのだと思います。
3.敵意帰属バイアスによる認知のゆがみ
今回の妻の事例でも、本部から説明を受けているのに、パソコンに詳しい妻に逆に問題点を指摘され、説明をする一方的立場から、何らかの対応をしなくてはいけなくなってしまったためだと考えます。そして、「私の説明(努力)を台無しにした」と思い込んでしまい、妻が敵意を向けてきたと錯誤してしまったために起こった現象と考えます。
敵意帰属バイアスがかかったとき、相手が言っている意図や考えをすべて敵意ととらえてしまい、それが顔に出てしまったのでしょう。そして、表情だけでなく、そもそも使えないシステムに合わせないとだめだと、明らかに誤ったことを言い始めたわけです。