法定相続人がいない場合、遺産を親族や友人、知人に遺贈することができます。遺贈とは、遺言によって特定の人に財産を贈ることを指します。遺贈を活用することで、感謝の気持ちを形にし、親しい人に財産を引き継ぐことができます。
特定の人への遺贈
例えば、長年世話になった友人や介護してくれた知人に対して、感謝の意を込めて財産を遺贈することができます。遺言書にその旨を明記し、遺産分配を確実に行うための手続きを整えておくことが重要です。
寄付の活用
また、遺産を慈善団体や社会貢献活動に寄付することも考慮するべき選択肢です。遺産の一部または全部をNPOや公益法人などに寄付することで、自分の財産が社会に役立つ形で活用されることを願うことができます。特に、遺言書で明確に寄付の意思を示しておくことで、確実な実行が可能となります。
5. 成年後見制度の活用
おひとりさまの相続対策では、認知症などによる判断能力の低下に備えて、成年後見制度を活用することも検討すべきです。成年後見制度は、判断能力が低下した場合に、後見人が財産管理や契約の手続きを代行する制度です。
任意後見制度の利用(身元保証サポートのサービスの一環として行う場合があります)
任意後見制度を利用することで、あらかじめ信頼できる第三者を後見人として指定し、判断能力が低下した際に財産管理を託すことができます。これにより、本人が健全な状態のうちに意思を反映させ、適切な財産管理が行われるようにすることができます。
6. 法定相続人がいない場合、最終的に遺産はどうなるのか?
法定相続人がいない場合、遺言書が存在しないと最終的に遺産は国庫に帰属します。これは、民法に基づき、相続人がいない場合には財産が国に引き渡されるという規定があるためです。しかし、遺言書や信託契約を作成することで、このような事態を回避し、財産を希望する相手に適切に引き継ぐことができます。
特別縁故者への分配
法定相続人がいない場合でも、特別縁故者(被相続人と生前に親しく付き合っていた人)が家庭裁判所に請求を行えば、財産の一部を受け取ることができる場合があります。ただし、この手続きは裁判所の判断によるため、確実に財産が引き継がれるわけではありません。
※特別縁故者もいないもしくは裁判所が認めなかった場合、その遺産は清算人により清算手続きが行われて、残った遺産については国庫に帰属します。
まとめ
法定相続人がいないおひとりさまの場合、相続対策を怠ると、財産が望まない形で処理される可能性があります。遺言書の作成や信託の活用、寄付や遺贈の検討、成年後見制度の活用など、事前に対策を講じることで、自分の意思に基づいた相続手続きを確実に進めることができます。また、相続人がいない場合でも、財産を寄付などをする手続きを行うため、遺言書の作成をしておくことが重要です。